第七話 君との遭遇
授業中、教師に愛について尋ねた事で、気絶に追い込んでしまった強。
その教師を運んだ保健室で、強は運命の出会いを果たす……。
どうぞお楽しみください。
えーっと、保健室ってどこだったかな?
確か、体育とか部活で怪我した奴をすぐ運び込めるように、一階の校庭側にあったはず。
……面倒くせーな。
窓開けて一旦校庭に飛び降りちまおうか。
いや、前にそれやって、気の弱い奴が気絶して大騒ぎになったっけ。
今は授業中とはいえ、油断はしない方がいい。
となると地道に階段を降りてっと。
えーっと、こっちか?
「先輩……!? 何してるんですか……!?」
小声に振り返ると、リス子が教室の扉から顔を出していた。
「か、片山先生……? 先輩、先生をお姫様抱っこなんかして、一体何を……?」
「ああ、カバ山を保健室に連れて行こうと思って」
「ほ、保健室っ!? な、何しに行く気ですか!?」
すごい叫び声に、教室中がこっちを向いた。
何をそんなに驚いてるんだ?
「何しにって、カバ山が教室で急に吹っ飛んで、黒板にぶつかって気絶したから、とりあえず運んどこーと思ってな」
「そ、そうですか……。良かった……」
良いのか?
リス子が落ち着いたのは助かるけど。
反対に教室はすごいざわざわしてるが、そっちは大丈夫か?
「で、保健室の場所知ってる?」
「あ、はい。ここを真っ直ぐ行けばありますよ」
「サンキュー」
「あ! 先輩! もしかして片山先生にも愛の事とか訊きました!?」
「ん? ああ、訊いたぞ? 何で知ってんだ?」
「……はぁー……」
何でそんな大きな溜息を?
「先輩、今後それは……」
「胡桃! いい加減にしろ! 授業中だぞ!」
「ひゃあ! ご、ごめんなさい!」
ありゃー、流石に怒られたか。
「悪いな、俺のせいで。じゃ、またな!」
「あっ、先輩……!」
これ以上いると、リス子にも迷惑がかかるだろう。
リス子の言う通り進むと、あったあった、保健室の看板。
「すいませーん。怪我人でーす」
「はーい」
ん? 若い女の声?
保健室の先生って、妖怪みたいなばーさんじゃなかったっけ?
「はい、どうしました?」
扉を開けたのは、分厚い眼鏡をつけた女だった。
「あら! 片山先生!? 大丈夫ですか!? 君、何があったか教えてくれる?」
「教室で急に後ろに飛び下がって、黒板に身体をぶつけて気絶したんだ」
「まぁ……。とりあえずベッドに運んでくれる?」
「わかった」
ベッドに運ぶと、女は背中やら頭やらを調べた。
手慣れている様子だし、落ち着いてるな。
「うん、ひどい外傷はないみたい。呼吸も脈拍も正常だし、少しすれば目を覚ますと思うわ」
「そっすか」
良かった。これで一安心だな。
「ふぅ、怪我人って言われたから緊張したけど、大怪我じゃなくて良かったわ」
!?
女が眼鏡を外し、額の汗を拭った!
ただそれだけなのに、何だ!? 心臓が高鳴る!?
「? あなたは大丈夫?」
「だ、だだ、大丈夫、です! じゃ、あの、その、これで!」
「あっ、ちょっと!」
俺は逃げるように保健室を後にした。
階段の踊り場で、俺は息を吐いて胸を押さえる。
くそっ、何だこれ……!
じじいの呪いの効果、なのか……?
読了ありがとうございます。
恋に落ちる時は落ちるもんだ。
さぁようやくメインヒロインの登場と相成りました。
次話もよろしくお願いいたします。




