第六話 教室の中心で愛を尋ねる
愛について手当たり次第に尋ねたら、怒られて戸惑う強。
生徒に聞くよりは、と先生に質問を投げかけると……?
どうぞお楽しみください。
うーむ。
リス子やオオカミ先輩に聞いてみた事で、よくわからなくなってきた。
愛ってのは何なんだ?
前に松本達が二月頃に「チョコが! 彼女が! 愛が欲しい!」とか叫んでいた時は、周りは別に何も言ってなかった。
なのに俺が聞こうとすると、みんな驚いたり変な反応をしたりする。
あんまり聞かねー方がいい事なのか?
でも愛がわからねーと、いつまでも女の身体だしな……。
「おい依谷。授業中に考え事か?」
やべ、カバ山に気付かれた。
こいつ何か妙に勘がいいんだよなー。
あ、そうだ。カバ山なら先生だし、聞いたら教えてくれるかもな。
「あー、一つ知りたい事があってさ」
「ほう、言ってみろ。先生の専門は数学だが、わかる事なら教えてやれるぞ」
「じゃあ愛ってやつを教えてくれ!」
「ふぁっ!?」
カバ山の声と共に静まり返る教室。
またこれだ。何なんだ一体?
「よ、依谷も、そうか、お年頃だもんな……。まぁそういうのは、こう、何だ、……そう! 『ビビッときた!』って相手を見つける事から始めれば良いと思うぞ!」
おお、さすが先生。
でもビビッときた相手、か。
よくわかんねーな。
そんなの悠長に探してる時間もねーんだよなー。
「でもさー、俺なるべく早くこの身体を何とかしてーんだよ」
「か、身体を何とかって、お前……! も、もっと自分を大切にしてだな……!」
「軽くでいいから先生に教えてもらう事ってできねーか?」
「かまっちゅ!」
な! カバ山が後ろ向きに三回転して黒板に激突した!
「お、おい! 大丈夫かカバ山!」
「せ、先生は、妻も、子もある身……。たとえ、教え子の、頼みでも、それだけは、聞けない……」
え、カバ山結婚してたんだ。意外。
「それと、先生の、名前は、片山、だ……」
そこでカバ山は意識を失った。
幸い血とかは出てねーけど、こりゃ保健室に運ばねーとな。
読了ありがとうございます。
片山大……数学教師。五年前に結婚し、二歳になる娘を溺愛している。奥さんとの仲は良好だが、立体感のある胸部が好みだという事を伝えられずにいる。
この設定、誰得……。
いよいよ強が保健室に向かいます。
次回は月曜日を予定しております。
よろしくお願いいたします。