第二十八話 愛 戦士
男に戻った強は、喜び勇んで学校に向かう。
しかし男に戻ったことによる弊害が立ちはだかり……?
どうぞお楽しみください。
学校に着くと、ゴリ沢が校門で立っていた。
「おはよっす」
「おう、おはよ……、こら依谷! お前またズボンを履いて! スカートは……、ってあれ? 何故俺は依谷がスカートを履くなんて思ったんだ……?」
「お疲れっす」
よしよし。
もし俺がスカート履いてた記憶があったら、修行のためですとか言うつもりだったけど、大丈夫そうだな。
さて、保健室に行くか。
「め、眼鏡メガネ……。わたしの眼鏡ちゃん、どこなの〜」
……弥生先生がおでこに眼鏡乗せたまま、うろうろと保健室の中を探し回ってる。
昨日のキリッとした様子との差に、おかしさが込み上げてくる。
「ふふっ」
「だ、誰?」
「あ、おはようございます。依谷です。昨日はありがとうございました」
「依谷、さん……?」
何だ?
弥生先生の顔色が青くなっていく……?
「この声……、依谷さんは男子……? わ、私ったらどうして男子生徒と二人っきりのお出かけなんてしてしまったのかしら……!」
え、あ、あの、弥生先生?
「……教師失格だわ……! お祖母様にお詫びしてこの仕事から離れないと……! 辞表ってどう書くんだっけ……!?」
「失礼しました!」
やばいやばいやばい!
昨日のお出かけは俺が女だったからオッケーだったのか!
このままじゃ弥生先生が学校を辞めちまう!
何とかしねーと!
「あ! 依谷さん! ……じゃなくて君……? と、とにかく廊下を走っちゃ……!」
「ごめんオオカミ先輩! 急いでんだ!」
あの様子だとすぐにでも辞表出しそーだ!
方法は、一つ……!
「依谷さん!? 教室はこっちよ!? ……あれ? 何か雰囲気が……」
「悪いウサ子! ちょっと急用で家に帰る! 先生には適当に言っといてくれ!」
じじいにあの術をもう一回かけさせる!
そうすれば弥生先生が学校を辞める理由はなくなる!
「あ! 先輩! 今日はケーキを焼いてきたので、食べさせ合いっこを……、って私何て恥ずかしい事を!? 女の子同士じゃないとそんな事しないのに!?」
「ごめんリス子! また今度な!」
やっと男に戻れて嬉しかったけど、それで弥生先生がいなくなるんじゃ意味がない!
弥生先生のために!
愛のために!
俺はもう一度女に戻る!
「というわけだからじじい! あの術をもう一回かけてくれ!」
「……あの術を使うとまた儂鳩になるんじゃけど……」
「このままじゃ弥生先生が学校辞めるかもしれねーんだ! 頼む!」
「……うーむ、教師としての矜持か……。このままでは教師の道を閉ざすやもしれんとなれば致し方あるまい。桂木の婆さんが復帰するまでの辛抱か……」
じじいが印を結ぶ!
空が曇り、雷が鳴り響く!
「ありがとうじじい!」
「構わんよ。お主の幸せのためなら、鳩生活も悪くはない」
そしてあの日のように、光が俺とじじいを包み込んだ……。




