第二十二話 初デートでは突然に
お待たせしました。
桂木弥生とのお出かけに臨む強子。
しかし待ち合わせの際にもトラブルは寄って来て……?
どうぞお楽しみください。
待ち合わせの駅前で大きく息を吐く。
あー! 落ち着かねー!
とりあえずジーパンと黒のTシャツ、夏服の半袖ワイシャツを羽織ってみたけど、変じゃねーかな……?
何か周りからジロジロ見られるし……。
弥生先生から何か言われたら、じじいからもらった金で服でも買うか。
三万もあるんだ。余裕だろ。
「ねぇ彼女ー」
「あ?」
金髪にピアスジャラジャラの男が声かけてきた。
何だこいつ。喧嘩なら今日は買わねーぞ?
「待ち合わせてんだよねー? キミのツレさー、あっちで転んで足くじいちゃったみたいでさー」
「何っ!?」
弥生先生がケガ!?
「ど、どこだ!? どこで転んだんだ!?」
「あー、こっちー」
「案内してくれ!」
くそっ、せっかくのお出かけだったのに!
……何でこいつ、のろのろ歩いてるんだ!
「おい! 急いでくれ!」
「大丈夫、すぐそこだから」
うぐぐ……!
弥生先生が足を押さえて痛がっている姿が頭に浮かぶ……!
早く担いで病院に……!
「お、いい女じゃん」
「やるねー茶良ー」
ん? 何だこいつら。
ムキムキハゲに出っ歯。
この金髪の知り合いか?
「男物のTシャツにワイシャツ羽織って、ジーパンは男物の裾を折って、くぅー、萌えるなー!」
「だろー? その上この胸! たっぷり楽しめそうだよな!」
「茶良サイコー!」
あ? 何の話だ。
そんな事より弥生先生は……!
「おい、足をくじいた弥生先生はどこだ!」
「ん? あー、あれね。ウ・ソ」
なに……?
「待ち合わせしてるコにこー言うと、人通りのない駅の裏手にも簡単に付いてきてくれるから、簡単でいいよねー」
つまり、こいつは俺を誘い出すためにウソをついたのか?
って事は弥生先生は無事……?
「なーんだ! 良かったー!」
「!?」
「は? よ、良かった!?」
「な、何言ってんだこの女……?」
弥生先生がケガしてなかったんなら何でもいーや。
いや待てよ? って事は待ち合わせ場所にいないと、弥生先生が帰っちまう!
「じゃあ俺待ち合わせ場所に戻るから」
「おいおいおい!」
「待て待て待て!」
「この状況わかってんのか!? お前は男三人に囲まれてんだぞ!? 電車の音で悲鳴も聞こえない、人気のない駅の裏手で!」
「それが?」
何が言いたいんだこいつら?
「……ちょっと立場をわからせた方がいいみたいだな」
「くくく、気の強い女が泣きながら『許して』って懇願するの、いいよな?」
「ひゅー! 茶良ドSぅー!」
……ちぇっ。
普段だったら技の練習台にするんだけど、弥生先生を待たせるわけにはいかないし、さっさと決めるか。
あー、でも返り血とかで服汚したくねーな。
となれば、だ。
「おらぁ! いってぇ!」
玄武甲盾躰で、攻撃してくる拳や足を潰していけばいい。
出っ歯は拳を押さえてのたうち回る。
手応え的に、骨は折れてねーと思うんだが。
「何やってんだ!」
「ち、違う……! こいつ……! 俺のパンチにエルボー合わせてきやがった……!」
「偶然だろ! くらえ!」
金髪は上段蹴りか。
空手か何かやってるみたいだな。
「ぎえええ! スネがあああ!」
この程度の練度だと、素人と大差ないけど。
「だらしねーなお前ら! 体格差があるんだから、こうすりゃあいいんだよ!」
お、ハゲは体当たりか。
バカだなー。反撃を考えてないのか。
「ぶげらっ!」
自分の勢いのまま俺の膝を額に受けて、ひっくり返るハゲ。
ふう、鼻に当てたら鼻血で汚れるから、うまく額に当てられてよかったぜ。
「じゃーな。今度時間がある時にまた遊ぼーぜ」
「ひいぃ……」
「もう無理なナンパはしません……!」
「勘弁してください……!」
さてと、駅はあっちだよな。
げ、結構ギリギリじゃねーか!
駅前に走ると、あ!
「あ、きたきた」
いた! よかったー!
今日は弥生先生、白衣じゃなくて、フワッとしたスカート姿で、何かきれいっていうか、かわいいっていうか……!
「時間ぴったりね。イイ感じだゾ」
「は、はい! 今日はよろしくお願いします!」
俺がそう言うと、弥生先生はぷっと吹き出した。
な、何か変な事言ったか!?
「もう、『折角のお出かけなんだから固いのはなしよ』って思って砕けた感じにしたのに、依谷さん真面目ねぇ」
「え、あ、その、すいません!」
「あー、いいのいいの。気にせずリラックスしてね」
「は、はい!」
ちくしょう……!
走って戻ったから気持ちも心臓も落ち着かない……!
あの金髪とハゲと出っ歯……!
次会ったらタダじゃおかねーからな……!




