第十三話 クラスメイトが絶対引かないお誘い
着替えを目撃し冷静さを失った空手部の辺見を、足技で気絶させた強。
教室に戻った強は、クラスメイトに詰め寄られ……?
どうぞお楽しみください。
ヘビ先輩を保健室の前に転がすと、教室へと戻った。
弥生先生には会いたいけど、ヘビ先輩の気絶のわけを話したら、多分ケンカの事を叱られるだろう。
他の誰に言われても気にならないけど、弥生先生に言われるのは何か嫌だ。
何だかわかんねーけど。
「あ。依谷さん。……うん、ちゃんと隠れてるね」
「おー、ウサ子。サンキューな」
「どういたしまして。でもブラは早めに用意した方がいいよ? 依谷さんのは、その、大きいから、探すの大変そうだけど……」
「いや、いらねーよ。サラシでも巻くからさ」
「! だ、駄目だよ! そんな事したら胸の形が崩れちゃうよ!」
うお! またこの剣幕だ!
普段は全然おとなしいのに、何で俺の時だけそんな強いの!?
「依谷さんが、格闘で強くなりたいっていうのはわかるの……。そのために喧嘩をしてるのも知ってる……。でもだからって高校生活の全部を投げ捨てちゃ駄目だよ!」
「ウサ子……」
「だからいつも言ってるでしょ!? 格闘以外でも楽しい事しようって!」
「う、うん」
「ブラもつけておしゃれもして……! ってあれ? それは言ってなかったっけ……?」
それは言われてないけど、遊びに誘われてたのはしょっちゅうだ。
断ってたけど。
「と、とにかく今日一緒に服を買いに行こう! 男の子用の服も似合ってるけど、女の子の服着たらもっと似合うと思う!」
「えっ、それは……」
それは勘弁してくれ!
術が解けた時に、俺が女の服着てた記憶は残るんだよ!
「お、俺に女の服とか、無理だろ……」
「無理なんて事ないよ! そんなにスタイルいいんだもん!」
「いや、そんな事ないだろ。こんな邪魔なもんがあるし……」
「邪魔って……! あ! 胸のサイズで着れなかった服があるのね!? 大丈夫! 大きい人でも似合う服買えるお店も知ってるから!」
「え、えっと……」
駄目だ! ウサ子の押しに勝てる気がしない!
金がないって事にして、何とか断ろう!
「わ、悪ぃ……。今日金なくて……」
「……わかった。でも私の買い物には付き合って?」
「……まぁ、それくらいなら……」
「! ありがとう!」
愛について調べたいところではあったけど、この包帯の礼もあるしな。
「ふふっ、放課後が楽しみ!」
「そりゃよかった」
上機嫌のウサ子。
そういや何度も誘われてはいたけど、今までは断るとすぐ引き下がってたから、一緒に出かけるのは初めてだな。
どんなところに行く事になるのか、ちょっとだけ楽しみな気がしていた。
読了ありがとうございます。
ウサ子もとい朝子は、強の事を理解しようとしている上で、青春の全てを格闘に捧げかねないところを心から心配しているので、強としても反論がしにくいところです。
押しはそれ程強くなかったのですが、女体化でハードルが下がってます。
さて次回は服屋へGO!
次話もよろしくお願いいたします。