第十二話 ニドメのKO
同級生から浮いた乳首を指摘され、階段の踊り場で包帯を巻こうとする強。
それを空手部の先輩に見つかり……?
どうぞお楽しみください。
声のした踊り場の上を見上げると、そこには空手部の、えっと、そうだ、ヘビ先輩だ。
うちの『四神相応拳』を馬鹿にしたから、一回叩きのめしたら大人しくなったんだよな。
「よ、依谷……! お前、何でこんなところで、服を脱いで……?」
あ、やべ。
ウサ子に人目につかないところでって言われてたのに。
ここなら滅多に人来ねーって思ったのになー。
「ま、まぁこれはチャンスだ! 以前の屈辱を晴らすチャンス! 胸を隠して腕が使えない今なら……!」
ん? 腕が使えない?
そんな事はないけど……。
あ、でもウサ子もすごい剣幕で胸を隠せって言ってたから、やっぱり隠してた方がいいんだろーな。
まぁそれでもこいつ程度には負けねーけど。
「くっくっく! 負けを認めさせた暁にはその豊満な胸であんな事やこんな事を……!」
踊り場に降りてきたヘビ先輩は、目が血走ってた。
もう勝ちを確信してるのか?
甘いんだよ。
『四神相応拳』には蹴り技だって当然ある。
「くらえ!」
「おっと」
拳をかわし、蹴りを放つ。
「はっ! 女の軽い蹴りなど効かん!」
守りを固めるヘビ先輩。
俺の足は軌道を変えてその頭上を越え、
「へぐっ!?」
反対側から首を挟み、そのまま床に倒して締め上げる。、
これが『四神相応拳』青竜の型『青竜尾鞭脚』。
鞭を模した蹴りは、打撃のみならず締め技や投げ技にも移行できる。
ま、あの程度の守りなら打撃でも打ち崩せただろうけど、何かの拍子に階段から落られても困るしな。
「……く、くそ……! 無念……! この脚がズボンじゃなく、生足だったら……! ぐふっ」
よし、落ちたな。
そのまま寝かせてっと。
さーて、他の連中が来る前に、包帯巻いちまうか。
明日からはサラシでも巻いておくかな。
それにしても、愛といい胸といい、女の身体はわからない事だらけだぜ。
あー! 早く戻りてー!
読了ありがとうございます。
ヘビ先輩こと辺見経美……街の大きな空手道場の息子で、しなやかな技と狡猾な戦略をあわせ持つ高校三年生。しかし強にこてんぱんにされ、逆恨みながら復讐の機をうかがっていた。
脚より胸派。
次話もよろしくお願いいたします。