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    お金が足りない!!②

「それで具体的には何に困ってるんですか?」


 種島さんに“教えてほしい事があって”とラインをすると、数分してから返事が来る。文字でのやり取りは面倒だったので電話で色々と教えて貰うことになった。


「えっとね......」


 私は種島さんに、AKを持ってみたけど腕の力がなくて構えられなかった事や、重たいせいで持って歩くだけでもキツイ事を話した。


「なるほど、たしかに若葉さんはパワー系ではないですもんね......やっぱりSMGが良いんじゃないですか? 軽くて扱いやすいと思いますよ」


 と種島さんは言ってくれるけど、私には少し不安要素がある。


「あのさ、SMGだと広いフィールドじゃまともに戦えないんじゃない?」


「確かに基本SMGは野戦向きじゃないですが、有名なクローズドボルト採用のMP5とかであれば200mぐらいまでなら戦うことが出来ます」


 200mか......少し心許ないけど、それぐらいまで離れていても戦えるのであれば態々重たいアサルトライフルを使う必要性はないかもしれない。


「ありがとう種島さん、SMGとかも見てみるね」


「わかりました。また何か有ったら連絡ください」


「わかった。またね」



     ◇  ◇  ◇



 私と妹が種島さんのアドバイスを聞いてサブマシンガンが並ぶ棚へ向かう。

 私たちが先程までいたアサルトライフルコーナーの向かい側にあったので、特に迷うこともなく来ることが出来た。


「MP5って結構種類有るんだな......」


 SMGコーナーに着いて、種島さんにお勧めされたMP5が並んでいる棚を見つけたのだが、バリエーションの数が多いことに驚いた。


 よくゲームとかで見るベーシックなMP5は勿論のこと、伸縮ストックを搭載した物やサプレッサーが元から装着されているSDモデルなども置いてある。


「なんか少しづつ形が違うんだね......これとかは商品名は違うのに何が違うのか全然わからないよ」


「えっとね......たしかバーストが有るか無いかだったような気がする。ほらこのセレクターの部分にバーストのマークがないでしょ?」


 と説明したけど、妹はいまいち理解していない様子で“うん、そうだね”と気の抜けたような返事を返した。


「それで、色々有るけどどれが良いの?」


「取り敢えず無難にA4とかが良いのかな?」


 一時期熱中していたCODのMWでMP5A4を少しだけ使った事が有り、それを思い出してMP5A4を手に取ってみる。

 ゲームでは威力があまり高くなく、結局AKに切り替えてしまった思い出がある。


「やっぱり軽いな、流石サブマシンガン。鈴も持ってみる?」


「うん......うわっ軽い、これならお姉ちゃんも使えるんじゃない?」


 重さを確認すると2780gだった。もちろん手に持ってみるとずっしりとしていて重たいが、AKと比べてみるとかなり軽く感じる。

 

「あっこれとか試し打ち出来る」


 手に取ったA4モデルの横に置いてあったMP5SDに『試し打ちOK 声かけてください』と書かれた紙が貼ってある。

 銃ひとつで数万円もするので、買ってから後悔するのは避けたい。


「でも、試し打ちして銃を買わずに帰ると定員さんに.....」




「あの、この銃試し打ちしたいんですけど......お姉ちゃんが」


 気がつくと妹がMP5SDを抱えてレジの横に置いてあったラックにミリタリー系の雑誌を並べている店員さんに話しかけていた。

 店員さんは快く妹の頼みを承諾してくれる。


「あぁ良いですよ、射撃レンジはコッチです」


 そう言われて私たちが店員さんに着いていくと、小さな射撃場があった。的まではだいたい10mぐらい離れていて的の形はよくある人の形だった。


「じゃあまずは弾を込めますね」


 そう店員さんが言うと、横置いてあった棚から銃弾を取り出して、慣れた手付きでMP5のマガジンに弾を込めている。

 動きがスムーズでめちゃくちゃ早く、数十秒で弾込めが終わった。


「......どうぞ」


「ありがとうございます......っと銃弾が入ると重たいですね」


 受け取ったMP5は少しだけ重たくなっていた。

 弾頭はプラスチック製なのだが薬莢が金属製なので、30発のフル装填だと300gぐらいプラスされているらしい。


「じゃあ、撃ってみます」


 銃を構えてサイトを覗き込む。MP5だけではなく銃全般に言えることだが、アイアンサイトは見にくくて照準が合わせにくい。

 息を吐いて一番奥の方にある的にリアサイトとフロントサイトを合わせる。


 まずはセミオートで撃ってみるか......


「......っ」


 引き金を引くと銃が跳ね上がる。両手で構えていたのでハンドガンを撃ったときと比べたら、少しだけマイルドになっている。 

 的を確認してみると、狙った位置よりも下の方に銃弾が当たった痕跡があった。


 もう一度的に狙いを定めて引き金を引く。


「凄いね......本物の銃みたい」


 振り返ると妹が目を丸くして銃口から出る細い煙を見ている。



 もう一度的に狙いを定めて引き金を引く。


「おー今度は当たったね」


 今度は狙い通りに着弾する。店長さんが「次はフルオートで撃ってみたらどうですか?」と言うのでセレクターを回してフルオートに切り替える。


 さっきと同じ様に狙いを定めて引き金を引く。


「......っと..............はぁ」


 初段の跳ね上がりが意外と抑えられなくて焦ったが、数発撃てば反動の制御にも慣れてきて、的に命中させる事が出来た。

 狙った場所から少し上に弾痕が集中している。


「どう、撃ってみた感想は?」


「反動も抑えやすくて使いやすかったけど、レートが速いぶん弾切れが早いのと、ダメージがそんなに高くないのが心配なんだよね」


 射撃レンジの横に貼ってあるポスターには各弾薬のダメージが書かれている。

 このポスターによれば9mmのダメージは18らしくM16やAKなどで使用されるライフル弾と比べると1/2程度のダメージになっている。


「実際の試合でフルオートを多用する場面は少ないですから、弾切れの心配はあんまりしなくても良いとは思いますけど、ダメージが低いのは確かに欠点ですね」


 と、店員さんは呟いて考え込む素振りをする。そして私に向かって「まっていてください」と言うとアサルトライフルコーナーに走って向かう。

 それから一分ほど経つと、銃を抱えた店員さんが帰ってきた。


「それは......ショートバレルのM4ですか?」


「まぁそうですね。もっと正確に言えばMK18 MOD0です。マガジン込の重さ3180gだから、フルサイズのM4と比べたらまだ軽いほうだと思います」


 そう言って店員さんがフル装填されたマガジンと一緒にMK18 MOD0を手渡してくる。私はそれを受け取ってリロードしてチャージングハンドルを引く。


「撃ちます」


 引き金を引いて銃を撃つ。

 当たり前だがMP5なんかより反動は大きく、狙いは定めにくかった。銃から飛び出した薬莢はMP5の物と比べて2倍ほど大きかった。


「MP5と比べたらコッチのほうが良いかな......」


 ゲームでも小ダメージの弾をばら撒いて戦う戦法はあまり好きじゃないので、どちらかと言えばMP5よりもMK18のほうが性に合っている気がした。

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