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    SH部入ります⑤

「由加はん、新入部員候補連れてきたで」


 扉が開かれて、現れたのは大阪弁を話す明るい女子生徒......たしか平坂さんが現れる。その平坂さんの後ろには女子生徒がふたり立っている。


「あっ本当に勧誘してきてくれたんですね」


「なんや由加はん、疑ってたん?」


 種島さんは「いや疑ってたわけではないんですが、本当に勧誘してくれるとは思ってなくて」と言い訳になっていな言い訳を言いながら“新入部員候補”を部室に案内する。


 部室には私と信濃川さんと種島さん、それに加えて陽向先輩と今来た平坂さんとふたりの新入部員候補の計七人が居るのだが、部室である旧化学準備室はあまり広くないので、ここまで人数が多いとかなり狭く感じる。


「ふたりとも入部希望しとるらしいで、ほら入部届も預かっとんねん」


 そう言って平坂さんは種島さんに二枚の入部届を渡す。


「入部していただいてありがとうございます......えっと自分は部長の種島由加と言います、よろしくおねがいしますね」


 その自己紹介に続くように平坂さんも自己紹介をする。


「ウチは平坂翼、ここの副部長を努めとんのや。よろしゅうな」


 平坂さんはそう言い終わると、私と信濃川さんの方をちらちと見る。多分この流れで私達にも自己紹介をさせる気なのだろう。


「私は......」


 私と信濃川さん、そして陽向先輩がクラスと名前、それと何か一言を伝えるだけの簡単な自己紹介をする。平坂さんを始めとする三人は、陽向先輩がスポーツシューティング経験者である事を知ってかなり驚いていた。


 五人の自己紹介が終わったので、いよいよ新しく来た二人の新入部員が自己紹介をする番になった。


 最初は首からネックレスを下げたギャルっぽい女の子が自己紹介をする。


「アタシは花咲姫奈、ヒメって呼ばれることが多いんだけど好きに呼んでいーから。スポーツシューティングの経験はゼロなんだど元々バスケ部だったから運動には自信あるんだよね」


 入学したてなのに、制服を着崩しているし化粧もしているから大体は予想できてたけど、なんか賑やかで明るくて......その......陽キャのオーラを纏ってる。


「あーインスタとかやってるけど鍵かけてるから、フォローする時はDMかラインで声掛けてくれたらリクエスト許可するから。スタバはアイスフラペ......」


 理解できない今どきの女子が使いそうな横文字を色々と喋って自己紹介を終える。そして、ギャルの花咲さんに続くように二人目の女の子が自己紹介をする。


「倉敷雛音っていいます。私もスポーツシューティングの経験は全くないんだけど、前々から知ってて面白そうだなっ思ってたんだよね」


 倉敷雛音と名乗った女の子は花咲さんとは対象的におっとりとした性格で、喋り方ものんびりとしていて”ふわふわ”という表現がよく似合う。


「あんまり運動は得意じゃないんだけど、スポーツシューティングを全力で頑張って楽しみたいと思っています」


 この場にいる全員の自己紹介が終わったので、種島さんから今後の活動方針について説明される。活動日時や服装など内容は一般的なものだった。


「それで、ここから大切な話なんですが」


 先程と比べて種島さんの声のトーンが下がる。


「部員が八人なので、このままでは高体連などの公式戦に出場することは出来ないんですよね。外部との合同チームを組むことでこの問題は回避できますが、学校も違いますし毎日練習することも出来ないのでデメリットもあります。皆さんは合同チームを組むか、非公式試合の出場だけにするのか、どちらが良いですか?」


 一同は種島さんの説明を受けて考え込む、すこし間が空いてギャルの花咲さんが手を上げて種島さんに尋ねる。


「ねえユカ、公式試合に出場するには何人必要なの?」


「えっと最低十人は必要です」


「それなら、あと三人か......私の友達にこーゆー部活に興味ありそうな子が居るから連れてこよーか? 多分入部してくれると思うんだけど」


「本当ですか? ありがたいです」


 とはいえ花咲さんの友達が入部してくれたところで十人にはならない。


「でもまぁ姫菜はんがお友達連れてくるのやったら、公式試合出場に必要なんは残り二人やろ? ほんならもう少し待ってみてもええんちゃう?」


 確かに新入生勧誘期間が終わったとしても、望みは薄いが新しく部活に入ってくれる生徒がいるかもしれない。

 今すぐ外部との合同チームを作るか決める必要はないのかも。


「そうですね、公式試合の件はもう少し保留にしますか。では、次の話題になるんですがSHをするに当たって銃が必要になるんですが、皆さん持ってないですよね?」


 元々スポーツシューティングを趣味でやっていた種島さんや平坂さん、クラブチームに所属している陽向先輩は銃を持ってるけど、経験のない私たちは持っていない。


「それで銃を買わなければならないんですが、銃って安くないので......」


 種島さんがインターネットの通販サイトを私達に見せてくれる。

 並んでいる品物はどれもアサルトライフルみたいな銃で、押し並べて見ると商品の平均価格は4,5万円程度で、種島さんの言う通り安いものではない。


 当たり前だけど、銃を買わなければ試合どころか日々のスポーツシューティング部の活動にすら参加できなくなる。

 つまり部活に入る以上必要な出費という事だ。


「まぁ安くはないけど、私は大丈夫だよ4万円くらい」


「わたくしも普段お金はあまり使わないので、それぐらいの出費でしたら全く問題ないですよ」


 私や信濃川さんの声に続いて、皆も銃を買うことを快く承諾してくれる。

 聞いた話では軽音楽部や吹奏楽部に所属している人の中には、10万円以上する楽器を購入している人も居るらしい。


 それに比べれば4万円くらい安い......のかもしれない。


「では、来週中までにはみんな銃を用意しておいてください。もしなにか質問とかあればラインで連絡してもらったら答えるので」

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