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第七話・模擬戦

「初めまして浅天凪沙っていーます。今日はよろしくね」


 土曜日、部活始まりの簡単なミーティングで花咲さんが誘ってくれた、友人の浅天さんが挨拶をする。浅天さんは入部するか迷っているらしく、今日の活動とかを見て面白そうだったら入ってくれるそうだ。


「今日は模擬戦当日で、早く試合をしたい気持ちは分かるがいくつか私から注意事項を話しておく。問題に発展しないようによく聞いておくんだぞ」


 珍しく今日は部活の始まりから顧問の別所先生が付いている。

 普段はバスケ部だったり仕事だったりで顔を出すことは少ないけど、今日は試合をするので器物破損などの問題が起こっても大丈夫なよう先生が監督してくれる。


「と長々と話したが、平たく言えば怪我をするな、銃弾を学校外に飛ばすなの2点だ。これさえ守ってくれれば文句はない、じゃあ種島あとは任せた」


「はい、じゃあ早速試合を始めたいと思うんですけど、その前に軽く試合のルールについて説明しますね......」


 種島さんの話を簡単にまとめると試合のルールはフリーフォーオール、つまり自分以外全員が敵の撃ち合いでゲームでもよく見るルールだ。

 復活はなしで体力が0になったら敗北。バトロワとも似てるけど、倒した人数が一番多い人が勝ちなので最後まで生き残ってもメリットはない。


「それと、陽向先輩は流石に強すぎるので......はい、どうぞ」


 種島さんはポケットからリボルバーを取り出して陽向先輩に渡す。リボルバーは片手に収まるようなサイズで、カスタマイズしてあるのか見た目はカッコいい。


「えっとこれ何の銃?」


「スミスアンドウェッソンのM36ですね。グリップとシリンダーとトリガーとマズルをカスタマイズして格好良くしました」


「えっと......これを使うってこと?」


 陽向先輩はスポーツシューティングの経験があるので、ハンデとして弱い武器を使うことで出来るだけ私達でも平等に戦えるようにして貰う。

 それと同じで経験がある種島さんもベレッタのM9だけで戦う事になった。


「じゃあクジを作ったのでこれを引いてスタート地点を決めましょう」


 種島さんの手に握られた細長い紙をひとつ摘んで引き抜く。選んだクジを見ると「サンルーム」とボールペンで書いてあった。


「では、それぞれ移動してください」


挿絵(By みてみん)

         ↑フィールドマップ:校舎四階



     ◇  ◇  ◇



 取り敢えず、Tシャツとスマートウォッチの同期は完了してるし、マガジンもジャージの両ポケットに入れて準備は万全。

 あとは、試合開始の合図を待つだけ。


[それでは試合開始です]


 しばらくして種島さんから部活のグループラインで連絡が来る。


 試合が始まった。


 取り敢えずこのフリーフォーオールのルールだと下手に隠れて初動が遅れるより、活発に動いて接敵をしたほうが良い。


 となれば、出発地点が「資料室中」の倉敷さんを倒しに行くのが妥当かな?

 正直倉敷さんは種島さんや平坂さん、陽向先輩みたいにスポーツシューティングの経験もないし元運動部でもないから倒しやすいはず。


 私は普通教室側からの攻撃に警戒しつつ楽器庫まで近づく。倉敷さんの性格から考えて、あんまり動き回ってキルを取ることを考えてはないと思うから......


「わっ」


「って、そんな場所に」


 資料室を目指そうと廊下を曲がったところで身をかがめて待ち構えていた倉敷さんと八合わせる。突然のことで私声を上げて驚く。

 そして、何故か角待ちしていた倉敷さんも驚いていた。


「ごめんなさいっ」


 そしてほんの僅かな間があった後、倉敷さんが持っていた銃が乱射される。

 倉敷さんの銃はSIGのMCX、銃弾は.300 AAC Blackoutって名前の銃弾を使用していてダメージは比較的高い。

 そんな中を毎分900発のレートで撃たれたら文字道り瞬溶け......


「あっ」


 至近距離の乱射だったけど、射撃姿勢がちゃんとしてなかったからかマズルフラッシュに驚いて目を瞑っていたせいか、一発も私に当たらなかった。


「えっと......ごめんね」


 私は弾切れに戸惑っている倉敷さんの頭をAKで撃つ。倉敷さんの時計からビープ音が鳴って倉敷さんの敗北を知らせる。


「頑張ってね若葉さん」


「うん」


 取り敢えず1キル、ダメージを一切喰らわずにキルを取れたのは大きい。次に狙うのは暗室スタートの花咲さんか1−4スタートの信濃川さんかな?


 と考えてるときに部室の方から大きい銃声が聞こえる。多分この轟音は花咲さんの軽機関銃だから、これは漁夫をするチャンス。


「......ってもう終わった?」


 印刷室の手前まで走ってきたところで、鳴り響いていた機関銃の音が消える。多分撃ち合ってた相手に倒されたのか倒したのか......


「あちゃー倒されちゃった、全然当たらなかった」


「そんな事はないですよ、わたくしもHPが少なくなってますから」


 印刷室の角から化学教室の前を覗くと床に座った花咲さんと、それに手を差し伸べている信濃川さんの姿が有る。

 話的に信濃川さんのHPが削られているらしいので、狙うなら今がチャンス。少しセコいけど私は話している信濃川さんに向かって銃口を向けた。


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