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    狙うのって難しい③

「そう言えば、なんで信濃川さんってSVDを買ったの?」


 正直に言ってSVDってそこまでメジャーな銃じゃないし、西側のM4とかHK416なんかと比べると扱いづらいと思うんだけど。


「お店でこの銃を見つけた時に、何故か惹きつけられて......性能や使い易さ等で選んだほうが良いのは理解しているのですが......」


 とは言うものの、SVDって結構精度高いはずだし使用する弾薬が7.62x54mmRと大口径なので火力も出しやすい銃では有る。

 反動が大きいとか制度が悪いとか色々と言われてはいるけど、ここまでモダナイズされていればその欠点もあまり目立たないような気がする。


 それに、連射できる武器だとさっきにAK-74Mを撃った時みたいに、トリガーハッピー化してしまうかもしれないし......


「信濃川さには単発の銃があってるとおもうな」


「そうですか? そう言って頂けると嬉し.......」


 信濃川さんの言葉を遮るかのように、すぐ隣からけたたましい銃声が聞こえてくる。今まで聞こえていた物とは比べ物にならない程で、耳栓をしていても結構うるさく感じる程だった。


 何事かと思って銃声の方を見ると、機関銃を腰に構えた花咲さんが文字通り銃を“乱射”していた。弾薬帯が銃に引き込まれ、薬莢となって排出されている。


 排莢される薬莢のサイズもかなり大きくSVDと同じくらいの大きさだった。


「......あぁ重すぎ」


 ひと通り撃つと、花咲さんは持ち上げていた軽機関銃を地面におろす。軽機関銃をもつのは腰だめの状態でも、流石にきつかったらしく少し息が揚がっていた。


「凄い音でしたね......銃はストナーのLMGですか?」


 水筒のお水を飲んで休んでいた花咲さんに種島さんが話しかける。


「そう、お店で一番軽い機関銃が欲しいって言ったらこの銃オススメされてさ。見た目も良い感じだし買ってみたんだけど腕が疲れるわ......でも楽しいわ」


 トリガーハッピーがここにも居たとは。


「まぁストナーのLMGって軽機関銃の中でも軽いほうですが、それでも5kg弱ありますからね。長時間持ち続けるのは結構キツイですよね」


 そもそも設計段階から立ち姿勢で射撃、ましてや長時間乱射することなんて想定されていない。基本的には伏せたりして射撃を安定させて撃つのものだ。


「しかし何故軽機関銃なんですか? 量を撃ちたいならドラムマガジンの着いたアサルトライフルでも良かったんではないですか?」


「まぁアサルトライフルでもいーけど、やっぱり銃弾をばら撒くのが似合うのはアサルトライフルより機関銃でしょ?」


「そうですね、弾幕は分隊支援火器の専売特許ですもんね」


 何がどう似合うのか理解できないけど.......まぁ取り敢えず花咲さんが軽機関銃を乱射したいことだけは理解できた。




「おぉやってるな、調子はどうだ種島」


 教室で射撃の練習をしているとドアが開き、背の高い先生が顔を出す。見ると私たち一年生の体育のを担当している別所先生がいた。 


 別所先生は女の人でありながら身長は170cmを超えていて、格好いい雰囲気もあってか男子生徒は勿論のこと女子生徒からも人気がある。


「あっ、ゆー先生だ。もしかしてゆー先生が顧問?」


「花咲、先生を下の名前......しかも渾名で呼ぶんじゃない」


 先生が入ってきた為、みんな射撃を止めて先生に目を向ける。


「わぁゆー先生だ......でも先生ってバスケ部の顧問じゃなかったんですか?」


「倉敷も先生を渾名で呼ぶんじゃない......で、バスケ部の顧問でもあるんだが兼任という形でここの顧問も務めることになった」


「そういえば、顧問の先生をみんなに紹介してへんかったね......ほんで、先生は部活動の風景を見に来はったんですか?」


「あぁ、それもあるんだが橋田の奴が職員室で生徒を怒鳴るもんだから煩わしくてなぁ......あと種島に伝えることがあって来た」


「伝えることですか?」


「次の土曜日なんだが、校舎の四階つまりこの階を貸し切りにしてスポーツシューティングの撃ち合いをしても良い事になったんだ」


「えっ許可下りたんですか?」


「あぁ結構楽に許可が下りたよ」


「そうなんですね。頼んでおいて言うのも失礼ですが、校内で模擬戦する許可がおりるなんて思ってもみなくて」


「まぁもし本当に模擬戦をするんだったら、先生が立ち会わないといけない決まりだから声を掛けてくれ......おっとそろそろバスケ部に顔を出さないとな」


 そう言って先生は教室をあとにする。

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