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    狙うのって難しい②

「まず、稔ちゃんは小柄だから無理にハンドガードを握る必要はないんじゃないかな? こうやってマガジンの方を握り込んだほうが良いかも」


 そう言うと陽向先輩は私の左手を掴んで、AK本体とマガジンの付け根の部分に手を持っていく。


 たしかに手を大きく伸ばして、ハンドガードを握るよりはマガジンの部分を掴んだほうが握りやすくて安定している気がする。


「それと、先にマガジンに手を掛けておくとリロードの時に時間の短縮にもつながるから、AKの欠点をカバーできるしね」


 歴代AKシーズにはホールドオープンの機構がないので、リロードをする時にボルトを引く必要があり、リロードの時間が長い事はAKシリーズの弱点でもある。


 まぁそんなところも愛嬌なんだけどね......


「それと、この構え方だとしっかりと肩にストックを押し付けないと反動を抑えきれないから注意してね」



 陽向先輩から教えられた通りに構えて、もう一度的を狙う。基本的に初弾は当たるんだけど、二発目からは反動などが抑えきれず当たらないことが多い。


「じゃあ、撃ってみます......」


 最初の弾は狙った通りの場所に飛んでいく、しかし二発目は反動の制御がしきれていないためか当てたい場所よりも上の方へ飛んでいく。


 このままだと着弾地点が上の方に集中してしまうので、私はマガジンを掴む手により力を込めて銃口の跳ね上がりを抑える。



「最初の跳ね上がり方が大きいけど、その後の反動はちゃんと抑えられてるね......この調子で反動を押さえる練習をしていけば的に当たりやすくなるんじゃない?」


「わかりました。ありがとうございます」


「あっでも、SHの交戦距離ってサバゲーと違って長いから、立ち姿勢は当たらない事が多くて、しゃがんだり伏せたりして銃を安定させるのが基本だね」


 私の買ったAK-74Mは商品スペックによると有効射程距離が300m、平坂さんが使うM700などの有効射程は500m程らしい。


 まぁ、こんなに長い距離で交戦が出来るなら態々接近して、被弾リスクの高い近距離戦なんてあまり起こらないのも納得できる。


「たしかに普通の森林フィールドとかは至近距離線は頻発しないけど、室内とか家が多いフィールドだとCQBとかMOUTが多くなることはあるけどね」


「そうなんですか」


 と相槌を打ってるけどシーキュービーとかマウトってなんだ?


「この近くだと江別に有るシューティングフィールドの......」


「あの先輩、教えて欲しい事が有るのですが......」


 そう言いかけたところで陽向先輩に、信濃川さんから声がかかる。信濃川さんはドラグノフを使っているので銃身が長く重量もあるので使うのが難しいらしい。


「なあに? 構え方とかの質問?」


「はい、ここの......」



        ◇



「信濃川さん、私にもその銃撃たせて」


 陽向先輩からアドバイスを受けた後AK-74Mの射撃練習を続けていたのだが、隣で練習をしている信濃川さんの銃声が異様に大きいので“なんの銃を撃っているのだろう?”と思い左を見たら、信濃川さんの手にガッチガチにモダナイズされたSVDが握られていた。


 そのSVDに見とれているうちに思わず声を掛けてしまったのだ。


「ええ良いですよ......あの、わたくしにも若葉さんの銃を貸して頂けますか?」


 と、言うことで私の信濃川さんの銃を交換して撃ってみることになった。


 信濃川さんのSVDはハンドガードやストックがカスタマイズされていて、木製の部分は全くなくハンドガードにはKeyModシステムが搭載されていたりダストカバー上にはピカティニー・レールが着いていた。


 SVDのグリップと一体化した特徴的なストックも付け替えられていて、標準的なアサルトライフルみたいな形状になっていた。


「ホロサイトと......三倍ブースターなのか」


 そんなモダナイズSVDにはEoTecのホロサイトとブースターが乗っている。すごく見易くて本物かと疑うレベルだったけど、信濃川さんによればレプリカらしい......がどう見たって


「重いなぁ......」


 SVDは私のAK-74Mとは比べ物にならないぐらい重たかった。元々の本体重量が重いのに、カスタマイズされて色々と光学機器が乗っていたりするので更に重量が増している。


 信濃川さんは私より力あるから、これぐらい重くても平気なのかな?


「じゃあ撃って見るか......」


 ホロサイトを覗いて、人形を狙う。

 SVDは大口径なので反動に備えて銃を抑える腕に力を入れる。


「......っ......少し左に逸れたのか」


 引き金を引いた瞬間に、肩にかなりの力が掛かった。もともと立ち姿勢で撃つことを前提として作られていないのでかなり撃ちごたえがある。


「次はブースター着けるか」


 丸い筒のような形をしたブースターを倒して、倍率を上げた状態にして的を狙う。 ブースターもかなり見易くて的を狙いやすかった。


「......おぉっ当たった」


 ブースターで倍率を上げているためか、ドットサイトやホロサイトで狙うよりも簡単に的へ当てることが出来た。


「やっぱり反動が大き良い......って............」


 SVDの射撃を楽しんだので、そろそろ信濃川さんに銃を返そうと隣を見ると、信濃川さんは私のAKをめちゃめちゃ楽しそうに連射している。


 そして、マガジンに入っていたすべての銃弾を撃ち尽くしてから「あっわたくし夢中になってしまって......」と申し訳無さそうにAK-74Mを私に返した。


 信濃川さんってもしかしなくてもトリガーハッピーの素質が有るかもしれない.....

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