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第五話・狙うのって難しい

「それで、今日は皆さんに持ってきて頂いた銃を使った活動をしたいと思います」


 みんな週末のうちに銃を買ってきたらしく、リュックサックや手持ちのガンケースから各々の銃を取り出す。

 私もジャージを入れる為の手提げ鞄の中に入っていたAK-74Mを取り出す。


「見た感じ、大丈夫そうだね」


「そうですね安心しました......」


 私達の銃を見て、種島さんと陽向先輩がそう話している。

 種島さんによると、個々人が自由に銃を買いに行ってしまったのでスポーツシューティングに不向きな銃を買ってしまっていないか心配だったそうだ。


「本来は、自分がしっかりと皆さんに説明すれば良かったんですけどね......まぁでも皆さん大丈夫そうだったので良しとしますか」



        ◇



「...........で、これはなんや?」


「射撃練習場ですよ」


「いや見たらわかるわ! そういう事を聞いとるんやなくて......」


 買ってからまだ間もない銃を持って私達は部室棟の四階にある化学準備室に集まっていたが、流石に狭い部屋の中で試し撃ちは出来ないので隣りにある化学教室で練習することになった。


「これ種島さんが作ったの?」


 そんな化学教室には横向きに並べられた机の先に人型の的とCDディスクのような形の丸い的が何個か並んでいる。


「はい、あっでもあんまり手間ではなかったですよ」


 私達が立っている場所から的まではだいたい10mぐらい離れている。

 人型の的に“ただ”当てるのは簡単な距離だけど、ヘッドショットとかCDディスクみたいな的を狙うには少し難しい距離になっている。


「じゃあ詳しい撃ち方は後ほど説明しますから、まずは各々撃ってみましょう......っとその前にゴーグルと耳栓を着けてくださいね」





「......全然当たらないなぁ」


 銃の構え方が悪いのか、それとも狙い方が悪いのかはわからないけど、当てたい場所に全然弾が飛んでいかない。


 的の胴体部分を狙う分には大丈夫なんだけど、丸い的を狙うと結構サイトと着弾地点のズレが目に見えてわかる。


 初心者だからって言い訳も出来るけど、他に皆はもう少し的に当てられてる......


「稔ちゃん、どうかしたの?」


 経験のない私が悩んでいても仕方がないので、種島さんにアドバイスを貰おうと思ったけど、種島さんは既に倉敷さんに構え方を教えていたので、スポーツシューティング経験者の陽向先輩に助けを求めた。


「全然当たらなくて......」


「なるほど、ちょっと貸してもらって良い?」


 陽向先輩に銃を貸すと、陽向先輩はサイトの取り付け位置やダストカバーやストックのグラつきを確認した後、的に向かって四発射撃する。


 最初の二発は外れたけど、その後に撃った弾は両方とも丸い的に当たる。


「うーん、結構レティクルと着弾地点がズレてると思うな......これマルイのだよね? 調整用の六角レンチ持ってる?」


 私は陽向先輩にサイトに付属していた三本の六角レンチが入った袋を渡す。一応撃つ前に調整はしたはずなんだけど、足りてなかったのかもしれない。


「このサイト安いけど結構使いやすいよね......少し青みがかってるけど、歪みとか殆どないし小さくて軽いからハンドガンとかに最適だよね。私もSH初めた時はよくこのサイトのお世話になってたんだよね」


 そんな事を話しながら、陽向先輩は六角レンチを使い手際よくサイトの調整をする。一通り調整し終わったところでもう一度銃を構えて的を狙う。


 次は全弾が丸い的に命中した。


「こんな感じでどう?」


 陽向先輩から銃を受け取って、もう一度的を狙って撃つ。


 私の腕がまだまだなので、陽向先輩のように全弾的に命中させることは出来なかったけど、サイト通りに弾が飛んでいった。


「すごい、ちゃんと飛んでいくようになった」


「サイトのレティクルじゃなくてマウントの方が少しズレてたみたいだね......それと、サイトのズレだけじゃなくて稔ちゃんの構え方が違うのかも」


「稔ちゃんの構え方ってインターネットとかで調べたの?」


「いや、フィーリングで構えてました......ゲームとかでよくAK使っていたのでその時にしていた構え方を真似してるんですけど......」


「なるほどね、じゃあ......」


 そう言うと、陽向先輩は銃を構えて的を狙っていた私の体に、背中から寄り添って両手をそっと掴んでくる。

 親身になって教えてくれるのはありがたいけど、体が密着しすぎてるような......

定期テストと文化祭で投稿がこんなにも遅くなってしまいました

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