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創造主は冒険するしかない  作者: ビール54
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第三話 エルフisファンタジー

着いたか。結構大きな街だな。

騒がしくもある。

発展してる点は、道の多くが舗装されているのと、露店がぎっしり並んでいるところかな。

最近は下界を見ていなかったから、ここまで発展してるとは思わなかった。

それにしても、結構走ったな。

綺麗な服が汚れてしまった。

天使族の身体能力で、一時間はかからなかったが。

それでも、夜になってしまった。

宿に泊まるにも金がない。

しょうがないので、路地裏で仮眠をとることにしよう。

だが、いい場所は先住民達にとられてる。

三時間ぐらい探して寝れそうな場所を見つけた。

物陰があったので、そこで眠ることにする。

「疲れた」

と言って、壁に寄りかかりながら、腰を下ろす。

天使族だから走るのが速いってだけで、全力疾走はそれなりに疲れる。

「なぁ、俺と一緒に飲みに行こうぜ。俺の奢りでいいからよぉ」

声がした方に頭を出すと、若そうな男性と女性がいた。

女性は中々容姿が整っていた。

男性はゴツい感じだ。

肩に手をかけて、女性を路地裏に連れ込んでるようだった。

かなり、強引だ。

心配なので一部始終、見守ることにした。

「嫌ですよ。明日は仕事があるのに、あなたみたいな男に付き合いたくないですよ」

女性の方はかなり強気だ。

下手に出れば、とか言いそう。

「ああん?なんだとぉ。エルフだからって偉そうにしやがって」

くそったれ、言わないじゃないか。

いや、そんなことよりエルフ?女性を見てみると、耳が長かった。

ファンタジーな感じだ。

エルフは俺が最初に創った人種の一人だ。

色白で耳が長いのが特徴で、補助系統の魔法が得意だ。

扱う武器は弓矢が多い。

「立場を分からせてやるよ!」

エルフの事を思い出してたら、男性がエルフの人を殴りかかろうとしている。

恐らく、男性が悪いような気がする。

暴力を振るう前に、彼を止めたい。

天使族は、身体能力と共に、動体視力も良い。

だから、拳の動きがスローモーションのように見える。

創造主の時は、日本人を肉体の標準にしていたから、新鮮な気分だ。

だけど、身体能力や動体視力が良くても、彼らとは距離がある。

ギリギリかもしれない。

今は二つの選択肢が思いつく。

二人の間に割って入るか、男の方を突き飛ばすかだ。

相手との実力の差が分からないので、間に入る方を選ぶ。

思いっきり走る。

結果、彼の拳を巻き込むようにして間に入った。

「ギャアッ!手がぁぁ!?」

今ので男性の手は傷ついたようだ。

こちらは、あまり痛くない。

外傷もないようだ。

「何しやがる、このガキ!」

男性が睨み付けてくる。

やっぱり、この体型は少し子供に見えるかもしれない。

もうちょっと、大人っぽくてもよかったな、と少し後悔する。

「いやぁ、こちらの方に手を上げようとしていたので止めようかと」

たぶん、俺は間違ったことを言っていない。

「ん?お前はこのエルフの護衛か」

「いや、違いますけど、暴力はいけないかな、と思いまして……ぇ?」

拳が目の前に迫ってきていた。

すぐに避けようとするが、距離が短いので、当然顔面に喰らう。

「ぐっ、痛たた。正当防衛!!」

さっきの脆さを考慮して、弱めに殴る。

「ぅわぎゅぅうぅぅ!?」

この男、変な叫び声だなぁ。

殴ろうとしていたから、正当防衛だ。

「て、てめぇエエエエ!」

あ、過剰防衛かな?

結構、そこら辺分っからないなー。

「もう、許せねぇ。こ、殺してやる……」

そももそ正当防衛って概念てのはあるのかな。

「殺してやるゥゥ↓ゥゥ↑!!」

やられたらやり返す、というのはあるかもしれないけど。

「えぇい!!死ねぇいっ!ガキ!」

うへっ。また殴ろうとしてきやがる。

結構、疲れてんのに!

拘束(リスレイント)!」

男の背後からの声と同時に、青白い鎖のような物が、男に絡みついた。

「な、なんだこれ!これを解けよ!」

男が喚く。

「ふぅ。これで、しばらくは動けないですよね。」

「おい!外せ!俺が誰だか知っててやってるのか!」

なるほど、この鎖みたいなのはエルフの女性のものか。

「あっ。君、ありがとうございます。大丈夫ですか?」

「おいゴルァ!!聞こえてんのか!」

彼女の目線には俺しかいない。

返事をしておかないと。

「はい、大丈夫ですけど」

てか、あっ、ってなんだよ、あっ、って。

忘れてるでしょ、絶対。

「本当に大丈夫ですか?何度も殴られそうになってましたけど」

「おい、謝れ!謝れってんだよ!」

ホントだよ。あいつ、なんで何度も殴ろうとしたんだろう。

「大丈夫ですって。それよりもさっきの、ほら。リスレ、リステイン。イステインだっけ?」

忘れてしまった。覚えようとしてなかったけど。

拘束(リスレイント)ですよ。それがどうかしたんですか?」

「そう、それです。そのリスレイントってどんなものなんですか。よかったら、教えてください」

「無視するなァ!!俺はこの街のBランク冒険者だぞォ!」

大体の魔法を創ったのに、思い出せない。もしかしたら、新しく出来たのかな。

その他魔法も覚えてないけどね。

「好奇心旺盛ですね。もちろん、魔法ですよ。属性は無、でしたっけ?効果は見ての通りで、束縛、拘束です。魔法と身動きを妨害する効果ですよ」

「魔法なら解きやがれ!」

属性があやふやだな。

あれ、俺の記憶が正しかったり、古かったり、無属性じゃなければ確か……。

「無属性って確か、適正者が少ないんですよね」

それを聞くとエルフがドャァっとしはじめた。

と、思ったらガックリとした。

「そうなんですよー!希少価値の高ーい(たっかーい)私をね、社会が見捨てたんですよ!そして、やっとですね。就職が決まったんですよ。子供にはこの大変さが分かりますかね。小さい頃から、適正として例が少なくて、魔法の適正が見つからなくて苦労したんです。私が!やっと見つかったってのにぃ。みーんな、私を求めない。さっきの男は求めてましたけど、そういう事じゃあ、ないんです。なんで、求めないのかで、無属性の魔法を使えても、効果が小さいから、だそうですよ。本当に見る目がないっ!だけど、最近になってようやくこの拘束(リスレイント)を使えるようになってですね、仕事にありつけたんです。安定な冒険者ギルドの職員です、やったー。……仕事の量の割に給料が少ない職業ですけど」

「無視するなつってんだろ!俺は、飛ぶ鳥を落とす勢いの企業、バクラプシーの御曹司なんだぞォ!」

うーん。

よく分からないけど、大変だったのは分かった。

「あ、私は職場に向かうために来たんですけど、あなたは何しに来たんですか?」

「クソォォォォォォォ!!!聞いてくれぇぇぇ」

ん、どうしようかな。

まだ、決まってないんだよなー。

「冒険者とかどうですか?不安定な職業ですけど、実力があれば収入がかなり高いですよ。登録も簡単で。この街のギルドなら私がいますし」

考え込んでたのに気付いて、職を紹介してくれた。

冒険者かぁ。ディスisファンタジーって感じだよねー。

「あ、登録料とかいるんじゃないですか?」

そういうと彼女はポケットから銅貨を三枚出した。

「はい、あげます。これでピッタリなはずです」

「キ……イ……………テ……キ…イ……………テ」

へ、あげる?なにがピッタリ?

「登録料です。返さなくていいですよ。これは投資ですから」

銅貨が三枚。

一番最後に下界を見た時には、銅貨五枚で宿に泊まれた。

小銭が(とお)あれば銅貨一枚。

銅貨五十枚で銀貨一枚。

銀貨百枚で金貨一枚。

金貨千枚で白金貨一枚だ。

だけど、それから数百年は経ってるだろう。

両替はあまり変わってないかもしれないけど、価値は変わってておかしくない。

あ、一応この世界は地球の鉱物を基にしたものと、ファンタジーな鉱物がある。

例で言えばミスリルやオリハルコン、アダマンタイトなどだ。

「それを支払って、登録してください。先程のスピードと力の強さ。戦士や武闘家なんてどうですか?」

どんどん話が進むな。

でも、確かに定職が決まるまで、冒険者も良いかもしれないな。

旅が出来たりすれば、情報も集まる。

「じゃ、貰っておきます。ありがとうございます。ギルドはどこにあるんですかね」

ギルドがどこにあるか分からなければ行くことも出来ない。

「だいたいの街にはギルドはありますから。この街なら、大通りを進んでいけば、でっかい建物にギルドって書いてありますから、すぐに分かりますよ」

「お願いだぁ。この魔法を……」

「黙れ!五月蝿いんだよテメェは」

「ヒィィィヒィ!」

なるほど、どこにあるか把握した。すぐに向かうことにしよう。

「ありがとうございました。もしかしたら、また合うかも知れませんね」

俺はそう言い残して、路地裏を出た。

恐らく、彼女のあの強さなら路地裏にいても大丈夫かな。

「ハッックチ」

寒い寒い。くしゃみをしてしまった。

てか、もう夜が明けちゃったよ。

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