第二話 初めての戦闘
山賊のような二人組は意外とちゃんとした身なりをしていた。
身なりからして近世の庶民と言った感じか。
身長が低い方とガタイがいい方がいたので、それで見分けることにする。
「なぁ、あいつ。結構な薄着だな」
「あぁ、たぶんそこまで裕福な家庭じゃなかったんだろうな、と思うが妙に小綺麗だな。」
低身長の言った事にガタイのいい奴が反応する。
「いつも通り、さらってあそこで売っぱらうか?」
低身長が恐ろしい事をいう。創造主だった時には気づけなかったけど誘拐や人身売買が多くあるのかもしれない。身なりが少しいいのはそれで金を稼いだからか。
「その前に楽しんじゃおうぜ。なかなかの上玉だよこいつは。胸が小さいがな」
「んー?まぁ確かに女かな。」
ガタイのいい奴の自分の欲望に忠実なこった。喋ってる間に逃げられることとか考えないのか?となるとそうとうの自信だな。他人のステータスを見れればいいんだが。
「いつものとこバレるかもしれないから、他のとこで売るか」
「じゃあ、俺が先だぜ。この前お前が先だったからなぁ」
ズボンをガタイのいい奴が脱ぎ始めた。
いつものとこ、他のとこ。これは売るばしょは複数ある。この前と言ってるところからして、何度も同じ行為をしてきたのか。
俺は逃げる姿勢をしながら、〈ホーリーアロー〉を撃つ準備をした。
バレないように小さめの魔法陣を作り出す。
相手の力は未知数なので四割程の出力にする。
狙うのは当たりやすい胴だ。
撃ったら、後はすぐに逃げるのだ。
「ヘヘッ、俺から逃げようとしても無駄だぜ。店が開く夜まで俺がゆっくりと……」
低身長の顔がひきつった。
「おい!魔法陣を展開してるぞ。かなり危険な気がする!」
小さい魔法陣が見えていないのか、こいつはジリジリと近づいてくる。
五メートルほど近づいた。
光の矢はさっきの何倍のスピードで、ガタイのいい方の体を半分にした。
半分になった肉塊は血を吹き出しながら、飛んでいった。
そして、そいつは動かなくなった。状態からして生きてるように見えない。
自分が、やったのだ。自分が胴を狙ったから……。
創造主の時、間違えて何万人を殺してしまった。その時は実感がわかなかった。もちろんすごく悔やんだ。
だけど、それ以上の罪悪感。自分が殺したのだ。
足を狙えばよかったのに。
恐怖で俺は動けなくなった。後悔で思考が止まった。
気づいたら、夕方になっていた。
低身長は逃げたのかいなかった。服が乱れてるわけでもなかった。
気分が悪い。イライラするあんな悪党のために俺が苦しむのが。
暗くなる前に当初の目的であった、あの街に行くことにした。