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創造主は冒険するしかない  作者: ビール54
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エピローグ

「な…ど、どういうことだよ。もう一回言ってみろよ」

「言ってください、だよね。何回も言わせないでよ」 

幼い少年の姿をした上司、神は身勝手なお願いをすることは俺には分かっていた。

「もうこの世界から消え去れ、と言ったんだ。用済みなんだよ、君は」 

お願いじゃない、命令だった。

俺はこの状況が信じられない。

神様が神様に殺される。そして、殺される神様は、俺なんだ。

腹立たしい。身勝手だ。

「日本人の思うファンタジー的な世界は出来たし、君にこれ以上権利を与える必要はない」

何か言い返さないと。じゃないとすぐに、殺される。

「神である俺が消えると、世界のエネルギーが不安定になる。それに信仰対象を失った者達はどうなるんだよ!」

「そうなった世界は好都合だよ。勇者である彼らにはね」

こいつが俺と、この世界をその程度にしか思ってないのが分かる。

余りに怒りを覚え、沈黙してしまう。


そして、いつの間にか肉体が殺されていた。

次の瞬間には残った魂さえも消されるだろう。

何で、こんな事になったのか。いや、薄々気付いてた。こうなることは。

長い年月の間にあやふやになったはずの記憶を思い出す。


二万年以上の事だ。日本人である俺がこの世界によばれたのは。

俺はあの頃は高校生で、辛かったという事しか思い出せない。

たまたま、夜道、ポスターを見つけた。一回五十万のアルバイトというものだった。明らかに怪しかった。

でも、俺は記入してあった場所に行った。アホだったなぁ俺は。

その場所には小学生ぐらいの少年がいた。明日も目前に迫ってる時分なのに。

その少年が案内したビルに入るとそこは暗闇だった。身の危険を感じて、出ようとした。

出れなかった。入り口があったはずなのになくなっていたのだ。

「無駄だよ。もう出れない。馬鹿な奴が来てよかったよ」

薄気味悪く、ニヤニヤしていた。

その少年は自らを神と名乗った。

「神…うーん。創造主は神だよね。」

俺のことを脅威と思っていないのか、ペラペラと話し始めた。

日本人の思うファンタジー世界を君に創りあげてほしいとか、地球の神は怖いから誘い込むとか、誰でもよかったとか。

恐らく、地球とは別世界の神なんだろう。

神というものは、複数いるらしい?

「こっちの世界に来た以上、君は僕の奴隷だ。君もこの世界限定で神になれるんだ。なってみて。…なれ。」

念のため聞いてみたら、給料は無いそうだ。

神だったんだ。逆らえないことは分かった。創造主になるのも悪くないと思った。

「じゃあね。僕には君と違ってやることが多いんだ」そう言い残してあいつは去っていった。

最初は地形を創った。ファンタジー世界をつくる。

そこで、科学を混ぜると面倒くさい。

神様のご都合主義で、空島が浮かび、太陽のようなものがその空島を回るようにした。

そのまま、高低を創り、雨を降らせ、川を通し、火山をはやした。

海が出来る頃に、水が空島から落ちていたので、その水は地獄の熱で、水蒸気に変えた。

その地獄には悪魔を創った。その時、思いついたのだ。悪魔といえば。

「天使創れば良いじゃん!」

神様なので有言実行。

美しい姿をした天使を創り、後の世界づくりを、大部分任せた。

そこまで一万年である。

それからヒト族という、人間を元にした者を創ったり、その他ファンタジーな亜人を創ったり。

それから宗教ができたので、お告げと称して、日本語を広めた。

ファンタジーなのでステータス、レベルやスキル、魔力とかの魔法系なんかも創った。

しばらくして、天使達の進言で、魔法やスキルの自動生成システムを創った。

なんとなく創造主として、この世界が好きになった。


文明が近世レベルに近づいていたある時だ。あの少年が戻ってきたのだ。

「やぁ、君は異世界転移、転生というものを知ってるかい?」 

もちろん知ってると答えると、彼は嬉しそうに聞いてきた。

「チートスキルというのもあるらしいね。教えてよ」

俺はそいうものがあるとパワーバランスが崩れると創らないでいたが、彼がしつこく聞いてきたので、

無限に魔力が使える、とか、魔法が効かなくなるものとか、スキルを奪うとか、沢山教えた。それらを聞くと忙しそうに、すぐに消えてしまった。

何か不安になった俺は意識がない天使の一人と意識と記憶を共有させた。

その判断は正しかった。


そして、彼はまた戻ってきた。

「別の日本人達を作る方でなく、遊ぶ方として連れてきたよ」

別の日本人?達?遊ぶ方?混乱してきた。

異世界転移のことを聞いたのはこのためか。チートスキルも。

「君はもう解雇しよう。この世界から消え去るんだ」 

そして、今につながるわけだ。


悠長に回想出来たのが不思議だ。

電源が切れたように視界が真っ暗になった。


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