ちびトカゲ
巨大な生き物みたいなものは、全長40mチョイ、でかい。
三本の尻尾が生えていて、翼、全身が燃えているドラゴンキメラっぽい。
ジョイを高速で追いかけている。
ジョイはヒョイヒョイと避けながらギリに逃げているが、そう長くは持たないだろう。
まずはこの化け物の飛行速度を落とさないと・・・。
シャララーン;「クラーケン(30m級化け物イカ)、いる?」
クラーケン:「いるよ」
シャララーン:「仲間を集めて、空にいる化け物を落として」
クラーケン:「了解」
5体のクラーケンが一斉に墨を空中に吐き出した。しかも、クラーケンは短距離であるが空を滑空できる。
受付嬢がロケット弾のように飛び出し、ジョイを救出、そのまま海に落下。
落下した彼らをシャチ軍が遠くに連れて行った。
そうこうしていると、化け物の高度が下がってきた。やるなら今だ!
シャララーン:「エビッち、今だ!尾びれで海水をかけろ・・・、
ってエビッちは南の国。
しゃぁないな、私がヒレで海水をぶっ掛けるか。
被害甚大なんだよな」
シャララーンは54mの海底まで行き、尻尾を上に向けて仰ぎ始めた。
ゆっくり、ゆっくり・・・、段々速くなっていく。海面が渦のようになり、盛り上がっていく。
これが海の守護者、女神と言われる者の力だ!
盛り上がった海面が一気に100mほど高くになり、半径4km付近に海水のどしゃ降りの雨を降らせる。
その雨は、北の国の町、火口、そして化け物を容易く飲み込む。
一瞬にして町は洪水になり、火口は鎮火、化け物は海に落ちたのであった。
化け物が海に落ちたことを確認したシャララーンは、化け物の回収に向かった。
シャララーン:「そんなぁー」
シャララーンが見た化け物は1mほどに萎んだ可愛いトカゲ(ドラゴン)であった。
冷めたドラゴンキメラは金属のように委縮して小さくなってしまったのだ。
本来は燃えていないと飛べないし、威厳もない。海水で十分に冷やされた。
シャララーン:「ツンツン(棒で突っつく)」
ちびトカゲ:「ごめんなさい。ごめんなさい。
気持ちよく寝ていたのにデカイ音に起こされて、
パニックしてしまいました。
ごめんなさい」
このトカゲすでに心も身体も萎縮である。
シャララーン:「いいよ。こちらは被害はない。
どうしてそんなところに寝ていたの?」
ちびトカゲ:「住処だよ。
あーあー、住居がなくなってしまった。
あの辺りのマグマはイイ感じで癒されるので気に入っていたのに」
シャララーン:「そのマグマってこれ(サンプル)を見せる。
もっと欲しいんだけどな。
なんとか海底の方から2個拾っただけで、埋まってしまった」
ちびトカゲ:「拾ってきてあげるよ。許してくれるなら」
シャララーン:「許す?許す条件には、まず、マグマ・・・」
・・・
シャララーン:「まず、マグマ・・・」
ちびトカゲ:「はいー。すぐに取ってきます」
被害が無いにも関わらず、人をこき使い、許す気がないシャララーンであった。




