虚言の勇者
シャララーン:「せっかく、西支店に来たんだ。『ハンス・ソゼ書記長』に挨拶に行くかな。ジョイも来る?」
ジョイ:「将軍様にですか?いいのですか?」
シャララーン:「いいよ。勇者として紹介する」
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シャララーン:「たのもー」
そのまま、ズカズカ書記長部屋へ直行。セキュリティが厳重だが、いつものように顔パスである。
コンコン(ノックをする)
返事がないので、いつものように浸入。
シャララーン:「今日は部下を連れてきたよ」
布団の中には隠れていた『オールバック刈り上げ豚』が出て来た。将軍と呼ばれるこの国の最高責任者だ。
ジョイはガタガタ震えて土下座している。この人の逆鱗に触れると即刻射殺または収容所という所に連れていかれる。
ハンス書記長:「シャララーン様、いつもご機嫌うるわしゅうございます」
そんな将軍様でもシャララーンには頭が上がらない。海の支配者には誰も逆らえない。逆らった国がいくつも滅んでいる。
シャララーン:「今日は部下の『七変化の勇者ジョイ』を連れてきたよ」
ハンス書記長:「そっ、それは戦争の援護でしょうか?」
シャララーン:「ブブー。この勇者が役立つかなー?
この人、物真似担当勇者だよ」
ハンス書記長:「実は戦況が芳しくない。
勇者参戦となれば士気も高まり形勢逆転と。。。」
シャララーン:「それと今度、遠くにある地球という惑星に行くけど、行きたい?
行くには資格が必要なんだけどね」
ハンス書記長:「それはどういう事でしょうか?」
シャララーン:「まず、条件のひとつ目。
特技があること。ある?」
ハンス書記長:「10分に一回人を惑わす事ができます。
我が国民もほぼ全て人を惑わす事ができます。
嘘でもでっち上げでも、(周りの部下・重鎮が)事実することができます。
歴史的事実でも曲げるのは可能です(キャンペーンで)」
シャララーン:「うむ。次に勇者であること。
勇者になって地球に行く気持ちはあるか?」
ハンス書記長:「興味はありますが戦時中、勇者でもありません。
せめて勇者が味方になれば...」
シャララーン:「わかった。
そなたを『虚言の勇者』に任命しよう。
そして戦争を早く終わらせろ。
そしたら地球に行ける可能性がある」
ハンス書記長:「虚言の勇者とは、うぐ...
この上級国民がそんな下劣な...」
シャララーン:「なんか文句ある?勇者称号を剥奪するよ」
ハンス書記長:「いえ。充分です。
我が勇者になれば国民の士気も上がるでしょう」
シャララーン:「はい、はい。
さっさと戦争を終わらせてね。
そうしないと間に合わないかもね」
その後、ハンス書記長はただの勇者を名乗り、国民に歴史的事実を曲げるキャンペーンを広げた。戦況は一向に変わらず、周辺国からは虚言国といい続けられるのであった。




