勇者のクラスアップは二度美味しい
シャララーン:「西の国に行く仕度、できたー?」
逃げの勇者:「はい。いつでも逃げれます」
シャララーン:「じゃ、手に掴まって。いきっまーす」
逃げの勇者:「初めての遠征。ウキウキ」
...
ふと、空を見ると複数の飛行機雲とそれを追撃する魔族がいた。ヤマダは見当たらなかった。魔族は飛べる。
シャララーン:「『海老っち』、ちゃんと掴まっててね。」
逃げの勇者:「『海老っち』って何?」
シャララーン:「『逃げの勇者』の事。
今、私が命名した。
仲間内ではニックネームがいい。なんか異論ある?」
逃げの勇者:「いえ、有り難き幸せ。名前を頂けるなんて感無量です」
すると、逃げの勇者の身体がみるみる白くなってきた。ビックリのシャララーン。一旦、止まって、海底に「逃げの勇者」を下ろす。イイ感じのエフェクトである。
シャララーン:「こっ、これはクラスアップに違いない。
グレーター伊勢エビかもしれない?!」
しばらくすると、普通の脱皮が終わった。ちょっとだけ大きくなった。
シャララーン:「覚醒した?hp増えた?」
逃げの勇者:「言ってる事は10%位しか分からないけど。
いつも通りスッキリっす」
シャララーン:「おおー、やっぱりクラスアップだ。
しかもかなり細分化されたプチクラスアップだな」
逃げの勇者:「はい。10年で体長が1cm伸びたっす」
シャララーン:「将来が楽しみだ。
その脱け殻どうするの?」
逃げの勇者:「持って帰って、食います。
味噌汁の出汁に最高」
シャララーン:「わかった。クラスアップは二度美味しい。
お土産には良いかも」




