〜絆〜
頭で創造しながら、読んで下さい。
その昔、二刀の剣を持つものがいた。一刀は、紅く血を好む、妖刀。一刀は、蒼く実体のないものを斬ることができる、霊刀。
その男は、二刀の剣を操り、全国を渡り歩いていた。
〜現代〜
あの日が近づいてる。
「優〜!!起きてるか?」
「うぅん?あぁ…」剛が部屋まで上がってきた。
「今日は神社のお祭りの準備を手伝いに行くんだろ??」
「わかってるよ、すぐ着替えるから、下で待ってて!」
今日は一年に一回ある夏祭りの日で、準備の手伝いをすることになってる。
「お〜ぃ、優!?」剛が叫んでるのを聞いて、慌てて外へ出る。自転車で神社に向かうと、近所の人達が大勢集まって準備をしていた。
「あれから6年か…?」剛がつぶやく。
「…そうだな」
昔、神社には幼なじみの女の子がいて、よく三人で遊んでいた。あの事件が起こるまでは…。
「おっ!?剛君と優君、手伝いに来てくれたのか?」
「はい!!」
僕達は、近所の人達と楽しく準備を進めた。そして、夏祭りが始まる。
「剛君、優君、楽しんでるかい?」神社の神主さんが話しかけて来た。
「はい!!」二人揃えて返事する。
「あれから6年…君たちはいつまでも元気でいてくれよ」
「…」
昔、ここの娘さんが通り魔に殺された。しかし、犯人は見付かっておらず、傷口が爪痕みたいということもあり、山から下りてきた何かの獣という噂も広がった………。
「優、あの蔵に行かないか?」
「えっ?」
『あの蔵』とは、神社の奥にある古い蔵の事だ。古い書物があると言われてたが、扉を開けようにもビクとも動かず、代々語り継がれていた。昔はこの蔵の前でよく三人で遊んでいた。
「二人でならこの扉開かないかな??」
「ちょっとやってみるか!?」僕達は力いっぱい扉を開けようとした、その時!?(ガタッ、ギィ〜)
扉は待っていたかのようになんの力をこめることなく、開いた。
「えっ、なんで?」
「と、とりあえず入ってみるか…」
蔵の中は、埃のかぶった本がたくさん置いてあった。
「階段がある!?」剛が叫び、二人で恐る恐る上がっていく。 そこには、二本の刀が奉っていた。一本は、月の光に照らされてか蒼く澄んだ刀。もう一本は、光が届いていないせいか黒く淀んだ紅い刀。僕達は導かれるかのように、それぞれ刀を手に取り、抜いた………。
(ガタッ)
部屋の隅から音が鳴った。暗くて見えないが、何かいる。じぃっと、二人で部屋の隅を見つめてるその時、その何かが僕達のほうへ動いた!?
「うわっ!!痛っ!?」肩が熱い。血が滲む。
「優、大丈夫か?」
月に照らされ、それが何かの獣だと認識できた。
「くそっ、俺が斬ってやる!!」剛が震えながらも、獣に向かって叫んだ。獣は剛に向かって襲い掛かった瞬間、剛の持つ紅い刀が意志があるかのように、獣を真っ二つに斬り裂いた。
「うぎゃぁ〜ぁ!!」獣は断末魔のような雄叫びをあげながら、消えていった。そして、刀に付いた血は、すすったかのように刀の中に消えていった。僕達は、なにが起こったのか理解できないまま、呆然としていた…。
(スーッ)
『優君、剛君、ありがとう』
女の子の声に僕達は我に返り、辺りを見回した。
「えっ?うそっ??」
「な、なんで?」
その女の子は語り出した。
『私は、6年前さっきの魔物に殺された。そして、優君の持つ霊刀に誘われた。その霊刀は、死んだ者を映し出し、実体のないものを斬る刀。そして、剛君の持つ妖刀は、血を好み、さっきのような魔物を斬るための刀。』
「な、なんだよそれ??」
「それにあの扉!?」
『あの扉は、15歳の者によって開くって言ってたわ』
「言ってたって、誰がだよ!!」『刀よ』
「えっ??」
『刀はいろいろ教えてくれたわ。あなた達も、心を開けばきっと語りかけてくれるはずよ』
「本気かよ!!」
『これで私も天国へ行ける…』
「えっ??」
『お願い!!他の場所でも、私と同じように魔物に襲われた人や苦しめられている人達がいるの!?助けてあげて!!』
「俺たちが?」
「出来んのか?」
『あなた達なら大丈夫よ。だって、私を救ってくれたもん』
(パン、パン)
墓参りをすませた僕達は戸惑いながらも、二人で乗り越えていくことを墓前に誓い、新たな旅路を見据えていた。
「行くか!!」
「あぁ!!」
不安を抱きながらも、僕たちの長い夏休みが始まった…。
〜完〜
初執筆の作品を飽きずに読んでくれて、ありがとうございます。
あなたにとって、心が踊るような物語であったなら、本望です。