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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
91/150

第91回 新たなる境地でございます


「おはようございます、お嬢様。

 本日の朝食は、バオバブ様の干し果実を粉にいたしましてから練り上げましたバオバブパン、謎の虹色砂糖菓子を溶かして固めましたレインボーババロア、その辺に泳いでおりました超絶活きのいい岩魚をその辺に生えておりましたオリーブの実から抽出いたしました油を回しかけて焼きましたロティでございます。

 お飲み物は、先日収穫いたしました果実の搾り汁に昨日まで飾っておりましたピーマンをぎゅっと濃縮させましたグリーンミックスジュース、いわゆる手加減なしの青汁でございます」


 わたくしの長ーいお料理説明を、お嬢様のお耳にじんわりとお届けいたしております。

 お嬢様は、ちょっとおねむのお顔をむにゃむにゃなさいながら、テーブルの周りをきょろきょろなさっておられます。


「んんー……。サン、どこー……?」


「こちらでございます、お嬢様。左前方、10時半の方向に控えております」


「んん。……あれ、サン、私の目の前にいるよ……?」


「は。わたくし、お嬢様の真後ろにもおります」


 お嬢様は椅子にお掛けになったまま夢をご覧になっておいでるわけでもなく、今朝から乱視になられたわけでもございません。


 わたくし、気配を消しながら高速でリビングルームを周回し、お屋敷の壁に半分溶け込んでおります。

 お嬢様をお守りするための護衛術、ただいま開発中でございます。

 これが完成いたしました暁には、わたくしはいつでもどこでもお嬢様のおそばに付き従うことが可能となります。

 これぞ執事魔法――


執事しつじ三歩バター≫!!


 ただ、これをいたしますと、お嬢様が少々混乱なさってぼんやりなさいます。

 わたくしの血液がいくらあっても足りなくなりますので、改良の余地はまだございます。

来たるべき戦いに備えましての、地味な修行パートでございます。


それはさておき、わたくしどちらかと申しますとムニエル派でございます。

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