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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
84/150

第84回 瘴気農法でございます


 お庭から噴出いたしておりました、魔力の瘴気はすっかり解毒されまして。

 今では、わたくしが通りかかりますと虹色のシャボン玉のように形を成して出迎えてくれます。

 これもひとえに、お嬢様のご人徳の賜物でございましょう。


 この浄化された魔力の瘴気、まあ仮に浄気とでも略して呼ぶといたします。

 浄気はお庭の生き物にとって大変有益な存在でございます。

 かつて魔物と呼ばれたものたちがおりました時代、その魔物たちを浄化して大人しくさせるのにも使われました。


 今は魔物はおりませんので、普通にお庭の木々や草花に与えてみます。

 わたくし、華麗にその場でスピンいたしまして、その風で浄気のシャボン玉を飛ばして参ります。


 その一つが、近くにありましたクランベリーの灌木にパチンと当たりました。

 すると、背の低い木でございましたが、見る見るうちに巨大化いたしまして、太い幹の大木となりました。

 実も一つ一つが、小粒のビー玉くらいからオレンジ並みの大きさになっております。


 わたくし、不勉強にも、浄気の作用に関しまして実際に確認いたしますのはこれが初めてでございます。

 これは文献の情報以上でございまして、わたくしのインスピレーションがしつしつと刺激されて参ります。


 これで作物を軒並み巨大化させましてひと財産築きつつ、今度の灯篭祭にも活用したいと存じます。

 お嬢様の感激なさるお姿が目に浮かぶようでございます。


 と、ついまたわたくしの目から立体映像を映写いたしまして、屋根より高いお嬢様の瞳がこちらをじいーーーーーっと覗き込まれました。


 すると浄気の塊はびくっと委縮いたしまして、あれよあれよとシャボン玉が干しブドウのようになり地面にぼたぼたと落ちました。

 しなっと干からびまして、手で触って持ち上げることも出来てしまいます。


 失敗かとも思いましたが、食べてみますと砂糖菓子のようでございましたので結果オーライかと。

細く切ってさっとゆで、虹色うどんにもなります。


極甘口でございますが、お嬢様は結構何でもいけるお口でいらっしゃいます。

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