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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
83/150

第83回 幽霊の 正体見たりで ございます


 この頃は、学校での非常勤講師のお仕事が終わりますとすぐ、お庭の改造に取り掛かっております。


 わたくし自身のお楽しみでもございますが、何よりもご帰宅された時のお嬢様のお喜びになるお顔が目に浮かぶようでございます。


 今もほら、こうしてわたくしの両目から浮かんで照射される魔力の幻燈が、天高い秋の空にお嬢様の爛漫たる笑顔を大パノラマで映し出しております。

 これぞ執事魔法――


執事しつじ影送ビジョン≫!!


 ちなみにこの映像、お嬢様のいらっしゃる寄宿舎の辺りからでも楽々ご覧いただけます。

 どこから見ましても月は月でありますのと同じでございます。


 で、その女神降臨かと見紛うばかりの珠玉の映像にびっくりされましたのか、お庭の気配がにわかにざわつきました。

 大変申し訳ございませんがダジャレとかではございません。


 実質的な、わたくしの上空からの広範囲索敵検知魔法に引っかかったものでございます。


 そちらのほうへ参りますと、なるほど。


 地下から湧き出す魔力の瘴気が渦となりましてびっくりしながら漂っております。

 通常でしたら憲兵さんや王立魔法騎士団の方々に通報して対処していただくものでございますが、


 実はこの、地下からの魔力の瘴気はわたくしがわざと掘り当てたものでございます。

 この瘴気の有害性や拡散性を中和いたしまして、お庭の名物・魔力温泉として正しき道を歩んでいただきます。


 その具体的な方法でございますが。


 先程からのお嬢様の映像でございます。

 お嬢様の透き通る麗しさと無邪気な愛らしさをわたくしの魔力に乗せまして、瘴気の塊にお届けしております。


 巨大な立体映像が、瞬きもせず、上空から、じーーーーーっと。


 瘴気はうねうねと渦をくねらせまして、あれよあれよと毒性が消えてゆきました。


 禍々しいヘドロの漬物色の気体は、淡い虹色になって優しく辺りを漂い始めました。

映像のお嬢様は当然ながら、頭からお足元まで完全再現されております。

しかし、どの角度から見上げましてもスカートの中は見えないようになっておりますのでご安心下さい。


地上から月の裏側は見ることが出来ないのと同じでございます。

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