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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
80/150

第80回 銀杏拾いでございます


 王立魔法学校の敷地内にございます、ちょっと狭い並木道をお嬢様とご一緒に歩いております。


 ここは、以前お嬢様がご誘拐され遊ばされたところでございます。

 お嬢様のご不安を払拭申し上げるべく、わたくしがおそばに付いております。

 従いまして、お嬢様には何一つご心配いただくことはございません。


 が、お嬢様のお心は、ちょっとばかり別のところにあらせられます。


「くさ~い」


 ここは、イチョウの並木道でございます。

 わたくしの故郷よりこの国に種を持ち込みまして、数年前から街路樹として普及させていただいております。


「この木、葉っぱが綺麗な黄色でとても好きなのだけれど、なにか変なにおいがするわ」


「お嬢様。このにおいはイチョウの果実より発せられております。この実は銀杏と申しまして、秋の味覚の一つでございます」


「うそ! このくさ~い実を食べるの?」


「果実の内側にございます、種を割りまして中身を食用といたします。とてもおいしゅうございますが、栄養価が高すぎまして、お嬢様はあまりたくさん召し上がりますと鼻血が出てしまいます」


「鼻血……? やだ、怖い」


 わたくし、鼻血を否定されまして何気にショックでございます。


「でも、サンが広めてくれた木なら、悪いものじゃないわよね。ちょっとだけ、興味あるかも」


 早速いくつか採取いたしまして、実を外して種を出してみました。

 このままですと、まだにおいがかなりございます。


 乾燥ついでににおい消しもいたしましょう。

 ふーふーの反対で、すーすーいたします。

 自然風の魔法の応用技――


執事しつじ秋風バキューム≫!!


 後は両手を擦り合わせまして熱を発生させ、銀杏を炒るだけでございます。

こちらの国の人々の体質から考えますと、

お子様は3粒まで、大人は10粒くらいが無理のない数となります。


わたくしはバケツいっぱい軽くいけます。

当然、鼻血スプラッシュでございます。

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