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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
77/150

第77回 ドーピングお嬢様でございます (上)


 お昼下がりでございます。

 ぽかぽかと暖かい木漏れ日の下、ゆったりとした時間が流れております。


 わたくし、ポットを高々と掲げまして、お嬢様のティーカップにお茶を注いでおります。

 バオバブ様の葉を発酵させてから焙煎いたしました、バオバブ紅茶でございます。


 普通の茶葉とは異なりまして、先日わたくしの魔力を大量に吸収させたものでございます。

 その分色合いや味も多少変わっておりますが、やはり一番は栄養バランスでございます。


 こちらだけではなく、わたくしがただいまお嬢様にご用意しておりますフルーツの盛り合わせも、小執事を通しましてわたくしの魔力を、お嬢様がすくすくとご成長なさいますようにとおまじないを込めて注ぎ込んでおります。


「ごちそうさま。サンの育てた果物もお茶も、とてもおいしかったわ。何か特別な肥料でも使ったの?」


「いいえ、お嬢様。わたくしは何も特別なことはいたしておりません。ただ、お嬢様がかけがえのない特別な毎日をお元気に過ごされるために、わたくしは常に全力でございます」


 お嬢様はお分かりいただいたような、いただいていらっしゃらないようなお顔をなさってから、手仕事を再開なさるべくよっこらしょとお立ちになりました。




 夕暮れ前になりました。

 この高原を吹き渡る風もからりとしておりますがやや冷たく、落ち葉がかさかさとどこかに巻き上がって飛んでゆきます。


「お疲れ様でございます。無事、干し網のほうは完了いたしました。後は雨の当たらない所に移しますと、この大自然が調理してくれます」


「サンのおかげよ。ありがとう。ずいぶんたくさん、手伝ってもらっちゃったわ。それにしても、これだけずらりと並んでたら壮観ね」


 そうおっしゃるや、お嬢様はすみっこのまだ乾いてもいないアンズをひょいとお取りになってぱくりとおつまみ召し上がりをされました。

 いわゆるつまみ食いでございます。


 するとお嬢様の全身がボワンと破裂したような音と共に煙に包まれました。


 煙が消えて現れましたのは、身長もおぐしもすらりと伸びた、大人のお嬢様でございます。


 わたくしの魔力の影響で、超絶すくすくご成長なされたようです。

こちらの干し網に大量に並んでおります果実、

実はひとつだけウルトラミラクル辛~いものが含まれております。


が、そのようなものをお嬢様にお召し上がりいただくわけには参りませんので、

どの道わたくしが口にしまして悶絶することになる運命でございます。

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