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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
76/150

第76回 冬支度でございます


「いかがでございましょう、お嬢様、届きそうでしょうか」


「ん……もうちょっと。よいしょ。もー……ちょっとで……取れた!」


 無事、お目当てのカリンを切り取ることに成功されまして、お嬢様はご満悦でいらっしゃいます。


 脚立だけでは届かない高い位置に生っておりましたので、わたくしが脚立の上に直立いたしまして、その上にお嬢様を肩車いたしました。

 わたくしといたしましては天国でございましたが、嬉しさの余り鼻血を噴き出しぐらりと卒倒するわけにも参りません。

 ので、ここはすかさず自身を朴念仁であるよう自己暗示をかけまして事なきを得ました。

 後ほど、たっぷりと血涙を流すといたします。

 ちなみに、この身を挺した脚立延長は、非常に危のうございます。

 ……いえ、そういう意味ではございませんが。

 ともあれ良い子の皆様は、決してマネをなさらないよう、お願い申し上げます。




「大収穫でございましたね。最後のカリンとその前のマルメロは、とても芳しい香りで見た目もおいしそうですが、そのままでは渋くて生食には不向きでございます。

 わたくしが先日ブーンと集めておきました執事蜜……もとい仕入れておきました蜂蜜がございますので、蜜煮込みやジャムにいたしましょう。この国に古くから伝わります伝説の家政婦レシピが火を噴きますよ」


「楽しみね、サン。取りすぎちゃったから、今日中に出来るかしら」


 お嬢様が果物でいっぱいの籠を背負われて、バオバブ様の横に鎮座いたします長テーブルに戻られます。

 わたくしは収穫に使用いたしました脚立やハサミなどの道具を懐にしまいまして、屋外キッチンのご用意をいたしました。


「本日のお茶のお時間に、生食可能なものは少しお召し上がり下さい。ジャムに加工して瓶詰めといった作業はわたくしもお手伝いいたしますので、すぐに終わりますよ。切り分けて網に並べ、干し果実を作るお仕事は冬の備えの保存食といたしまして極めて重要でございます。この機に是非ともお嬢様、体験なされますとお勉強になりますかと。わたくしが簡単な手順をご説明いたしますので、失敗なく出来ましょう」


 のんびりスローライフには、こういった手作業もお楽しみのひとつでございます。

蜂蜜は、花の蜜と蜂の成分が合わさったものでございます。

対しまして執事蜜は、花の蜜にわたくしの魔力があわさったものでございます。

妙な液体などは入っておりません。


衛生的な環境で生産しておりますので、どうぞご安心下さい。

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