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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
70/150

第70回 虫の声でございます


 先程のリンゴ狩り、わたくしもお土産におひとつ頂いてしまいました。

 色つやと言い形と言い、とても見事なリンゴでございます。

 食べるのが勿体ないくらいでございますので、磨いてオブジェとしてお部屋に飾ってもよろしいのですが、ここは増やすことにいたしましょう。


 まず、バオバブ様の横の適当な地面に適当な穴を掘ります。

 それからリンゴを埋めます。

 すると芽が出まして木になりましてリンゴが実ります、という寸法でございますが。


 既存の樹木や果実を操作して形状や位置を調整することは、執事のお仕事として当然の嗜みでございます。

 しかし、種から果樹を育てるということは、わたくし不勉強ゆえあまり挑戦したことがございません。

 今回は無理せず、仲間にご協力をお願い申し上げましょう。


 一旦、四つん這いになります。

 この姿勢、わたくしにとっては直立不動の次に、取る頻度の高いものでございます。

 そのような豆知識は隅に置きまして、お腹からよく響くバリトンボイスで仲間を呼ぶ合図をいたします。




「おえ~~~~。でございます」




 はい。

 そうしますとわたくしの口の中から、小さなタキシードをまとった小人が40人ほどぞわぞわ出て参ります。

 カマキリの卵が孵化するようでございます。


 こちら、わたくしが手勢を必要とするときにのみ呼び出します、小執事でございます。

 これぞ執事魔法――


執事しつじ式神スピリッツ≫!!


 今回のオーダーは、皆で手を繋いで輪になって踊ることでございます。

 小執事たちはキャワキャワキャワキャワと一斉に鳴きまして、草地に広がっていきます。


 わたくしはその後ろで、お花見会場の酔っ払いのように頭にネクタイを巻いて松明を2本ほど挿み、腰みの1枚で太鼓を叩きます。


 すると芽が出まして木になりましてリンゴが実りました。


 大地の精に働きかけて願いを叶える儀式、無事成功でございます。

 これぞ執事魔法――


執事しつじ大祭コンサート≫!!

ここだけのお話……


育毛にも効きます(個人の感想でございます)。

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