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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
64/150

第64回 お嬢様、お誕生日おめでとうございます (中)


 同じ日の朝となりました。


 バオバブ様も光合成を開始なさっております。

 何しろ大木で葉っぱも大量にお持ちのため、栄養が一斉に行き渡りまして、壁の中から生命の鼓動が聞こえてくるようでございます。


 わたくし、お掃除を指一本でシュゴォと終わらせましてから朝食のスープを作っておりました。

 その辺の雑そ……食用の野草をふんだんに使いましたお腹に優しい豆乳スープ、ハーブを効かせた野鳥のグリル、付け合わせにわたくしがフゴフゴ申しながら地面に顔を突っ込んで掘って参りました漆黒トリュフでございます。

 いずれも近くの林で採れた食材ばかりで、質素且つ豪勢なお料理となっております。


「おはようございます、お嬢様。朝食のご準備が整いましてございます」


 わたくしが階段の中腹から声をお掛けしますと、しばらくしてお嬢様が降りて来られました。


「おはよう、サン。お待たせ。バースデイカード、読んでたの。……ありがとう」


 お嬢様はちょっと照れながら着席なさいました。




「本日、お嬢様のお誕生パーティーをご予定いたしております。つきましては、お嬢様と親交の深い方々を、この度お招きいたしております」


 同時に、扉がノックされました。

 トモミ様でいらっしゃいます。


「いらっしゃいませ、トモミ様。お嬢様のお誕生会にお越し下さいまして、心よりの感謝を申し上げます」


「お招きありがとう、サン。素敵なお家ね。童話の世界みたい。……ふふ、本当は分かっているわ。お誕生会と同時に、貴方とジョーの新居のお披露目ってことね。妬けるわぁ」


 そうおっしゃいながら花束を差し出されたトモミ様。

 こちらに向かわれる際に、脳内でお話を随分と飛躍なさって来られたご様子でいらっしゃいます。

本当はこの辺りには、野ウサギやリスも結構おります。

この国ではポピュラーな食材として広く食べられますが、

お嬢様はそれらの動物を愛玩対象となさっておられます。


その割には、テンジクネズミを「可愛いけどおいしい」と、

好んでお召し上がりになります。

……複雑な乙女心ということにいたしましょう。

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