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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
54/150

第54回 怪盗でございます (中)


『ルビンフォート侯爵様



         盗みの予告(ご挨拶とお願い)



  拝啓


  日毎に秋めいてゆきます今日この頃、皆様方におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

  わたしことヌパン・アルルセイは、王都を中心に活動させていただいておりますが、この度、貴家の至宝であります紅玉の精霊石を頂戴いたしたく存じます。

  つきましては、このお手紙をお届けいたしました日の晩、改めましてお伺いいたしますこと、何卒お許し下さい。

  また、若輩者故ご無礼の段、平にご容赦いただきますよう、お願い申し上げます。


                                         敬具


                           ヌパン・アルルセイ』



 ただいま、お屋敷には物々しい武装をなされた憲兵の方々がお越しになっています。

 魔力で赤く光る回転ライトも、そこかしこに点在しています。


 これはこれで風情のある景色でございますし、お屋敷のリフォームにも良いかも知れません。


「んむむ。それで執事殿、至宝はぁ、どこに置かれているのですかな」


 顎が二つに割れておいでのケイヴ・ゴールド隊長様が、いつにも増しまして難しそうなお顔でわたくしに尋ねられます。


「はい、ケイヴ様。昼間、ヌパン様には至宝安置室までご案内いたしました。その時は解除いたしておりましたが、ただいまは転送魔法防止の二重結界を張り巡らせております。そのため、地下の安置室には外部からの空間転移魔法はもちろん、徒歩での接近も不可能となっております」


「あやつを甘く見てはいけませんぞぉ。同じように結界で防御しておりました別の現場も、天井や床を破って侵入されたこともありますのでな」


「ご安心下さい。至宝安置室にいつも至宝が安置されているとは限りません。いま置いてありますのはダミーの紅白まんじゅうでございます。


 本物は現在、お嬢様がお持ちでいらっしゃいます。


 本物の在りかまでご案内いたしますが、お嬢様は人見知りなさいますゆえ、ケイヴ様のみお越し下さいませ」

お庭を彩る赤いライトとご一緒に、憲兵の方々が張り込みをされています。

皆様、あんパンと牛乳を忍ばせていらっしゃいます。


よく訓練されていまして息もぴったり、

皆様一斉にむしゃむしゃむしゃむしゃごくごくごくごくといったご様子でいらっしゃいます。


秋の風情でございますね。

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