表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
53/150

第53回 怪盗でございます (上)


 巷を騒がす怪盗ヌパン様は、やや細身ではありますが、スーツのよく映える好青年といったお姿をされております。

 人当たりの良い爽やかスマイルは決してわざとらしくはなく、わたくし、ついついお話が弾んでしまいます。


「ほお。ヌパン様の捕縛担当官は、あのケイヴ様でいらっしゃいますか。いえ実はわたくしも、先日誘拐犯を5人ほどケイヴ様にプレゼントいたしまして」


「それはさぞお喜びだったことでしょう。いやいや、世間とは狭いものでございますね」


 至宝の安置室へのご案内前に、ひとまずのおもてなしといたしまして、第三応接室へお茶をお持ちいたしております。

 お茶請けは新米を使用いたしました固焼きせんべいでございます。

 お嬢様もこちらは大好きでいらっしゃいまして、お出しいたしますといつまでもいつまでもあぐあぐあぐあぐとお口を動かしておられます。

 もちろん後で、わたくしの最硬レシピによる、鋼鉄固焼きせんべいをお持ちいたします。


「さて。お待たせいたしました。至宝安置室にご到着でございます」


 わたくし、そう申しまして応接室の家人用椅子から颯爽と立ち上がりました。


 それからお部屋のドアを開けますと、


 そこは廊下ではなく静謐な石の宮殿になっております。


「こちらには、第三応接室ごと移動するエレベーターでのみ来ることが可能となっております」


 ヌパン様は、ちょっと驚かれたように目を丸くされまして、


「ご案内下さりまして、誠に恐縮の至りでございます。わたしも、ここまでしていただけるとは望外でございました。チョパンサ様は、泥棒にも変わった態度を取られるのですね」


「ヌパン様。どうぞ、わたくしのことはサンとお呼び下さいませ。僭越ながら、近しい間柄の方からはそのようにお呼びいただいております。あなたとはこれより、ライバル関係でございますから。どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます」

エレベーターの動力でございますね。




人力でございます。

わたくし、おもてなしをいたしながら椅子の下ではせっせとペダルを漕いでおりました。

スポーティー執事でございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ