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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
51/150

第51回 偉業達成でございます


 台風一過の朝でございます。

 お嬢様は、学校がお休みであるにも関わらず早起きなさいました。

 窓をお開けになって、わたくしにお声を掛けて下さいます。


「おはよう、サン! 領地の見回りに行くから、準備してくるね!」


 天災の後、真っ先に領地を気に掛けられるお嬢様、幼いながらも領主の品格でいらっしゃいます。

 わたくしも、お庭の片付けやお屋敷のお掃除は後にいたしまして、出発のご用意をいたすべく、昨夜頭に飛んで参りました37個のタライをよっこいしょと下ろしました。



 荷車に山盛りのおにぎりを乗せまして、水たまりの残る街道を進みます。

 もちろん、お嬢様のお身体にご負担のございませんよう、高級執事サスペンション付き荷車をお引きになられています。

 例によりましてわたくしが車軸をいたしておりますので、お嬢様には歩かれながらもソファーでお寛ぎになるのと同等のリラクゼーションをお受けいただけます。



 被害の大きそうな、山あいの村落から回っております。


 土砂崩れで道路が寸断されておりましたり、濁流で畑が流されておりましたりと、直ちに生活に影響がありそうな箇所を、優先して復旧に当たっております。


 具体的には、お嬢様がおにぎりをお配りになっていらっしゃる間、わたくしが指を掲げて瓦礫や倒木を呼び集めまして大体元の所に戻します。

 土や泥は水分が多く含まれておりますので、指先に集めましてから手首をキュッと捻ってジョバっと絞ります。

 真下にわたくしがおりますので、泥水は全てわたくしに降り注ぎます。


 後は、家屋や農作物の被害額を計算いたしまして補償金のお支払いを、いつもニコニコキャッシュでポンでございます。

 お嬢様も、「このための税金だから」と頼もしく断言なされておいででございます。



 それぞれの町村のお見舞いを終える際、余った瓦礫や使わない岩などが出て参ります。

 わたくし、それらを指先に集めまして高圧で押し固めます。

 その圧力により、岩石が融解するくらいの高温を発しまして、岩はドロドロになります。

 それをわたくし、お嬢様の形になるようフルスケールで整えまして、記念に町村の入口にキラリンと飾っておきました。

これぞ執事魔法――


執事しつじ神像スタチュー≫!!

これでお嬢様の人気もうなぎ登り間違いなしでございます。

が、一つだけ申し上げておきます。


YES! お嬢様

NO! タッチ


さあ、皆様もご一緒に。

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