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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
48/150

第48回 夜のお散歩でございます


 次の連休、お嬢様は外出許可を取りまして、お屋敷にお帰りになっています。


 ご帰宅のご用件は特にございません。

 お気の向くままにお休みを満喫されておいででした。



 穏やかな秋の夜でございます。

 お嬢様は、お散歩に行きたいとおっしゃいました。

 わたくし、護衛のためにも当然お供いたします。


 このお屋敷が建っておりますのは高原の避暑地でございます。

 今の季節、この辺りは学校のあります平地よりもずっと冷え込みます。

 防寒対策は必要でございますが、お嬢様はいま、長袖のブラウスの他は薄いカーディガンしか羽織っておられません。

 タンスの中には、秋物のコートが掛けてあったはずでございますが。


 ともあれ、お嬢様を夜風からお守り出来るのは、わたくしだけでございます。


 わたくし、お嬢様の3歩後ろに控えております。

 それでいて、風上を凧のように超低空飛行いたしまして、体感温度を下げる空気の流れをシャットアウトいたしております。

 日傘の魔法の応用技――


執事しつじ風防スクリーン≫!!


「月が綺麗ね、サン」


 わたくし、執事が隕石を食らったような顔をいたしました。

 鼻から燃料を漏出して撃墜されましてございます。


「少しでいいから、一緒に歩かない?」


「……は。では、失礼いたしまして」


 と、申しましても夜風からの盾は必要でございますので、お嬢様の真後ろにおります。


 夜道を一人歩く少女を上着を広げて追跡する成人男性。

 いつもの光景でございます。


 ぽつり、ぽつりと、何ということもないお話をいたしまして、お屋敷に戻りました。



「ありがとう、サン。またこうやって、デートしてね」


 お嬢様の作戦勝ちでございます。

たまには本当に、特別なことのない日常を

ご紹介いたしたいところでございますが、

魔法を使用いたしますと、つい鼻血落ちが付随いたしてしまいます。


しかしそれも普通と言えば普通でございますね。


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