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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
46/150

第46回 衣替えでございます


 体育祭が終わりますと、この国は早くも秋の風情となって参ります。


 お嬢様の制服も、衣替えの時期ということでございまして。

 ブレザーの下にベストを着用されたり、厚手のスカートや長い靴下にお召し替えたりと、ほんのり暖かいお姿をされます。


 わたくしも、お嬢様のためにお屋敷から冬の装いをご用立てて参りました。

 しかしながら、お嬢様はただいま寄宿舎生活、ご自分のことはご自分でなさるのがルールでございます。

 わたくしが何くれとお世話を申し上げるわけにも参りません。

 と申しましても、お嬢様がお風邪を召されてはいけませんし、わたくし謹製のあったか装備は是非ともお届けいたしたいところでございます。


 ので、ここは一計を案じました。


 寄宿舎の外に屋台を構えまして、路上販売をいたします。

 もちろん、学校より許可はいただいております。

 お嬢様にはお小遣いをお渡ししておりますので、クラスメイトの方とご一緒にお買い求めに来られること請け合いでございます。


「いらっしゃいませ。こちらナウなヤングにぴったしカンカンのお洒落小物を扱っております。これからの季節にバッチグーかと存じます」


 わたくしの正体がバレるとよろしくありませんので、多少の変装はいたしております。

 ビン底眼鏡に七三分け、たっぷりビスマルク髭は自力でぬゅっと生やしまして、服装もタキシードではなくステテコに草履でございます。


 屋台に並べておりますは、ここより遥か南東の山岳地帯より仕入れた、最高級のブルーアルパカの冬毛で70秒ほど夜なべして作りました手袋や耳当て、マフラーにストールなどでございます。

 薄くて細い繊維ではございますが防寒性と耐久性はグンバツ、絹よりも滑らかでふわつやでございます。

 都でお求めですとかなり良いお値段はいたしますが、わたくしのちょっとした伝手により雑草と引き換えの入手でございましたので、ここでは一律100NEYネイでございます。


 わたくしの故郷の通貨で換算いたしますと、大体100円くらいでございます。


 そして、思惑通り、お嬢様にはちゃんと雪傘に腹巻、毛糸のパンツをお渡し出来ました。

ここで、わたくしの体毛入りでございます、などと申しますと

流石にドン引きかと存じます。


もちろん、わたくし変態ではございませんので、

そのようなことはいたしておりません。

どうぞご安心下さい。


……はて。

わたくし、変態ではございません、……が。

……本当でございますよ?

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