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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
42/150

第42回 体育祭でございます (上)


 わたくし本日、教師はお休みでございます。

 ので、心おきなく朝からお嬢様に付きっ切りでございます。


 体育館の一角に、剣術競技の試合用コートがあります。

 出場選手はこちらに集まり、自分たちの出番を待っています。

 ルールとしては木製か竹製の剣の使用、防具の着用などがありまして、障壁魔法を展開出来る審判もいますのでケガの心配はあまりありません。


 お嬢様にももちろん、最高級の半身鎧をお召しいただいております。

 そのお姿、天上より舞い降りた戦女神もかくやとばかりの美しさでいらっしゃいます。

 わたくし、試合には不参加であるにも関わらず出血を禁じえません。


「お嬢様。本日までの地獄の特訓、あんなことやこんなことを思い出して下さい。どうかご存分にお力を発揮なさっていただけますことをお祈り申し上げます」


「ええ。サンの教えてくれた執事流護身剣術と、ルビンフォート家の末裔として恥ずかしくない勝負をしてくるわ」



 お嬢様の試合が始まりました。

 実況解説は執事がお送りいたしております。

 向こうは恐らく初等部の優勝候補、相手にとって不足はございません。

 対しまして、お嬢様は竹光が鞘から抜けずに、可憐にうんうん呻っておられます。

 鍔に掛かっております留め金が外されておりませんので、そこにお気付きになるかが勝敗の分かれ目かと存じます。

 わたくし、そのご様子を網膜に焼き付けております。

 後ほど暗室のバットに薬液を張りまして、顔面を突っこみパチパチ瞬きして現像いたしましょう。

 これぞ執事魔法――


執事しつじ・映画ザ・ムービー≫!!


 とか申しておりますうちに試合が動きました。

 お嬢様が竹光のレイピアからお手を離されて、迫りくる相手の剣をしゃがんで回避なされ、鉄壁のスカートもきちんと仕事しました。

 そのままスピン気味に流麗なステップで距離をお取りになったことにより、場外へ出られまして試合終了でございます。

最高級の鎧・フェザーミスリルアーマーと

最弱の武器・竹光のレイピア。


そういった組み合わせのギャップのよさをご理解いただける方と、

良いお酒がいただけそうでございます。

未成年や下戸の方とは、良いジュースがいただけそうでございます。

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