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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
34/150

第34回 副業でございます


 お嬢様は、ご出発前にちょっと待ってね、と言い残され、一旦お部屋に戻られました。


「ぶるるるーん。どるるるるるっ、でございます」


 わたくしが四つん這いになりまして、お嬢様をこれからも独り占めおまもり出来る栄誉に打ち震えつつエンジンを温めておりますと、ごめんねお待たせ、とお嬢様が飛び出して来られました。

 いいえ、わたくし今参ったところでございます。


 拝見いたしますと、お嬢様の髪型が変わっておられました。

 先程までのストレートロングから、三日月を束ねたかのような、躍動感に溢れたアップにされておいでです。

 わたくしが3枚目のハンケチーフを染色いたしておりますと、


「イメチェンよ。いつまでも弱いまんまじゃいられないから、ひとまずはね」


 そのお言葉には、いささかの気負いも偽りもありませんでした。

 わたくし、健診術の基本といたしまして、お嬢様のお声の調子とお顔の毛細血管の太さで、体調と心理状態を把握することが出来ます。

 昨晩の事件は、お嬢様のご成長へのご決意を後押ししたものへと昇華されたようでございます。


「サン。今度私に、護身用として剣術を教えてくれないかしら?」


 現在の髪型は、激しい運動を積極的になさるための意思表示でございました。

 もちろんわたくし、喜んでお受けいたします。


「承知いたしました。それでございましたら、わたくしに愚案がございます」




 王立魔法学校初等部4年生実践魔法コースの教室でございます。


「本日より非常勤講師といたしまして歴史と保健体育、魔法科学をご一緒させていただきます、サン・チョパンサと申します。よろしくお願い申し上げます」


 このようなこともあろうかと、魔法教師免許は取得いたしております。

仮にお嬢様が飛び級に飛び級を重ねられ、

高等部どころか大学院へ進まれていた場合に備えまして、

わたくし、高等魔法式演算概論の教師資格と、

『お屋敷の維持管理における独自に開発した執事魔法の意義と活用法一般並びに高等応用』の論文で博士号を取得いたしております。

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