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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
29/150

第29回 お嬢様、新学期でございます


 とても爽やかな秋晴れの朝、お嬢様のご支度は万端でございます。

 しっかりアイロンをお掛けした制服は慎ましげな色彩ながらも地味ではなく、胸元と袖飾りで同じ色のリボンをあしらってある辺り、大変愛らしく存じます。

 黒革のちっちゃめなローファーも今朝方ピカピカに磨き上げておりまして、こちらもお嬢様にはよくお似合いでございます。

 ……が。


「サン、しばらく魔法はなしだからね。私がいいって言うまで、禁止だからね」


 お嬢様はほっぺたを大きく膨らませておいでです。

 わたくしが、昨日かくれんぼに探索系の魔法を駆使して10連勝いたしましたのがお気に召さなかったご様子でいらっしゃいます。


 とは申しましても、ことの本質は、負けてお拗ねになっているといったものではございません。


「きょうから寄宿舎だから、サンに頼ってばっかりいられないの」


「は。では、学校までのお送りにつきましては」


「トモミのお家が馬車を出してくれるの。学校までは、それで一緒に行くわ」


 わたくし、正門からハンケチーフをひたすら振り、馬車をお見送りいたしました。


 それからお屋敷に戻りますと、一人ぽつんとわたくしだけが残されました。

 お嬢様がお帰りになるのは長期休暇を除けば月に数回となります。

 しばらくは、お嬢様にお茶をお淹れしたりも、玄関ホールの吹き抜けを人間エレベーターとなって昇降いたしたりもなく、お屋敷の維持管理に集中することになります。


 それはそれで、わたくしワクワクして参りました。

 なにぶんこの状況、


 放置プレイでございますので。


 取り敢えずは、廊下の隅でじっと正座するところから始めましょう。

膝の上には、このようなこともあろうかと切り出しておきました

ブロック状の岩を乗せております。


執筆後はスタッフが漬物石や石焼ステーキ用の台として大切に使用いたしますので。

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