表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
28/150

第28回 登校のご準備でございます


 お嬢様の寄宿舎に持ち込まれる品々は、わたくしの頭の上に積み上げます。

 そのままぶ厚くて重たーいドアを開き、魔法陣の描いてあるお部屋に入ります。


「では、お嬢様。これよりお荷物を転送いたしますので、もう少し後ろにお下がり下さい」


 お嬢様は、ちょっと緊張なさっておられるようで、ごくりと唾を飲み込まれました。

 その気持ちこわ張ったお肩、猫じゃらしか何かでこちょこちょいたしとうございます。


「ねえ、サン。わざわざここから転送魔法を使わなくても、あなたなら簡単に送れるのではないの?」


「わたくしの空間転移魔法のことでございますね。憶えていていただき、ありがとうございます。理由はいくつかございますが、ただいまより執り行います立方転送は、個人の使用する魔法と異なりまして、いわゆる、ちゃんとした手続きを踏んだ魔法でございます。正規の郵便として認められますので、お荷物の安全保障が付いて参ります」


「別に、こんな大掛かりなのじゃなくても、サンがしてくれるなら疑わないのに……」


 お嬢様の呟かれたお言葉は、聞こえない振りをいたしました。

 もう一つの理由は、この魔法は正確無比で安全確実な代わりに、費用として莫大な魔力を使います。


「座標指定、範囲設定。立方転送、即時執行」


 久しぶりに、普通の魔法を使用いたしました。


「じゃあ、サン。もう1回、私とかくれんぼしよ? 今度はもっと見つかりにくいところに行くから!」


 お嬢様はそうおっしゃるや、転送室からぱたぱたと駆け出されました。

 私の魔力切れを見越してのこととご推察申し上げます。

 が。


 更にもう一つの理由としまして、今回の消費魔力はお嬢様持ちでございますので。

 もちろん、ケチったわけではなく、お嬢様の魔力暴走の予防のためでございます。

当然のようにかくれんぼにボロ負けなさって、

「なんで!?」とおっしゃらんばかりのお嬢様のお顔、


次いで魔力を消耗されて「ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったかしら。なんだか疲れた……」と

汗ばんで上気なさっているお嬢様のお顔。


わたくしのメインディッシュとデザートでございます。

あとは仙人のように霞でも吸えば栄養十分でございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ