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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
26/150

第26回 お見送りでございます


 無事お屋敷に戻られました夕方、実はそろそろトモミ様がお帰りになられます。

 夏休みもじきに終わり、学校のご準備もございますので。


「そんな顔しないで。また学校で会いましょう?」


「でも……トモミ秋から中等部だから……」


 トモミ様は非常に成績優秀でいらっしゃいまして、お休み明けからは飛び級が決まっておいでです。

 お嬢様とは校舎も違いますし、寄宿舎も別々でございます。

 お嬢様はとてもとても寂しがっていらっしゃいまして、無意識にわたくしの手をお取りになって、ぎゅうぎゅうと握っておいででございます。

 その度にわたくし、直立不動のまま牛の乳しぼりのごとくリズミカルに鼻血を噴出いたしております。


 お時間も迫っております。


「僭越ながら、こちらはわたくしから」


 顔の下半分をさりげなく拭い去りますと、懐からお花を取り出します。

 それを頭上でくるりと1回転させますと、お花の首飾りが出来上がりました。

 もちろん、ドライフラワーとして保存できますよう、壁掛け用に小さい輪っかもついております。


 お嬢様も羨ましそうになさっておいででしたので、手の死角にパームして隠しておきましたミニサイズの花輪を差し上げました。

 お嬢様はちょっと照れながら左手の甲を上になさいましたので、わたくし、お指にぴったりになるよう調節いたしながらご装着させ申し上げました。

 こちらも、押し花にしてしおりに出来るよう専用のキット付きでございます。


「サン。私、もっと頑張るから。ジョーに負けないくらいにね」


「トモミ様。わたくしの故郷に『大和撫子』という、淑女を評する言葉がございます。レディーとして更なる高みを目指しつつも慎ましく凛とした、トモミ様のための言葉でございます。わたくし、次回のために刮目のあまり目を飛び出す練習をいたしておきますので」

トモミ様は大体12日ほどご滞在なさったようでもあり、

その実一晩くらいしかいらっしゃらなかったようでもございます。


これも特殊相対性理論や浦島効果のひとつでございましょうか。

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