第127回 雪の女王でございます
わたくし、執事でございます。
執事の主要業務は、お屋敷の維持管理でございます。
で、ただいまお屋敷を一歩踏み出しますと、そこは一面の銀世界――
というよりももはや雪の壁でございます。
が、これも予定の内となっております。
まず執事ジャンプで雪の壁のてっぺんに上ります。
お嬢様が大はしゃぎで走り回られておいでです。
「お嬢様。これよりこの雪山を多少削りまして形を整えて参ります。つきましてはご安全のため、一時わたくしの背にお乗りくださいませ」
いつものように四つん這いになりまして、お嬢様にご乗車いただきます。
それでは発車いたします。
これぞ執事魔法――
≪執事雪祭≫!!
わたくしが顔面を雪上にめり込ませて「あ゛ー」と雪を削って参ります。
ぐるぐる雪山を周回いたしまして、地上まで降りて来る頃には、そこには雪のお城が出来ておりました。
もちろん中に入ることも可能となっております。
「うわー。中は暖かいのねー」
一部屋だけでございますが、その分体育館のように広々とした、かつ頑丈な造りとなっております。
「お嬢様。トモミ様。この冬はこちらのお城にて、魔法の練習をなさることが可能でございます。多少のことでは破損いたしませんので、ご自由にご利用下さい」
また、隅のほうには空間転移の魔法陣もご用意いたしております。
エヴァーウッド家のトモミ様のお部屋に繋いでありますので、7秒で往復出来ます。
読者の方で体育会系の部活動に所属経験のある方、この度は地獄の冬合宿を連想させる展開をしてしまい、大変申し訳ございません。