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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
12/150

第12回 本日のご予定でございます


 新しい朝になりました。希望の朝でございます。喜びに胸を開いて青空を仰ぎ奉ります。

 朝食に、半熟トロトロエッグベネディクトとカリカリ厚切りトースト、それに奈良漬けをご用意いたしましてお嬢様をお待ちいたしております。


 お嬢様はただいま、お風呂に入っておられます。

 貴重な入浴シーンではございますが、なにぶん、行間が湯気に覆われておりまして、

 文章に表すことが

         うまく出来ま

               せ ん。


 などと申しておりますうちに、お嬢様が食堂にご到着なされました。

 お急ぎでいらっしゃいましたのか、おぐしがびしょ濡れでございます。

 これはこれで大好ぶ……お嬢様がお風邪を召されてはいけませんので、ただちにおぐしを乾かして差し上げなくてはなりません。

 熱風を直接当てては障りますので、マイナスイオンたっぷりの自然の風をお作りいたしましょう。

 ではちょっと失礼して、胸を開いて空を仰ぎ横隔膜に力を込め、ベゴンと鳴らし。

 ふーふーいたします。

 これぞ執事魔法――


執事しつじ春風ブリーズ≫!!


 お嬢様は今朝もつやつやのおぐしとお顔で朝食を平らげられました。


「おいしかったわ、サン。ところで、きょうのスケジュールはなにかしら?」


「はっ、お嬢様。本日はお昼前に、お嬢様のご友人の方がお越しになります」


「まあ、トモミが来るのね! 楽しみー! おもてなししなくちゃ!」


 しかし、わたくしは俯いて顔を横に振りました。


「お嬢様。その前に、学校の宿題をなさらなくてはなりません」


 このときのお嬢様のご表情……わたくしの大好物でございます。

世の紳士淑女でいらっしゃる方々――

決して身分に寄らず、そのお志の清く気高き方々でいらっしゃいましたなら、

一見なにもない余白と思われる箇所にも、

おのずと見えてくるものがございましょう。


わたくし、信じております。

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