第116回 宿命の邂逅でございます
「トモミー! うわあーい!」
「ジョー! よく来てくれたわね! 嬉しいわ!」
いつものように、お嬢様とトモミ様がお手を取り合い、くるりくるりと40回転程なさいました。
お手を離された後で、トモミ様はすうっとお目を伏せられました。
「せっかく来てくれたのに……今ここは、飛び切り困ったことになってしまっているの」
「まあ……」
お嬢様はしばしお言葉を詰まらせましたが、やがてお顔を上げられました。
「トモミ。そういうことなら、私に言ってちょうだい。私、あなたのためなら何でもするから!」
わたくし、真面目な感涙を禁じ得ません。
お嬢様の大いなる器、しかと育まれつつあります。
それはそれといたしまして。
「はて。お嬢様、今何でもなさるとおっしゃいましたね」
わたくし、エヴァーウッド家の外壁をカサカサと這い回って参上いたしました。
その様たるやクロゴキブ……
真面目で善良な執事でございます。
「トモミ様。推参至極でございますこと、お詫び申し上げます。方々早速本題に入らせていただきます。先程近隣よりお伺いしました此度の大規模討伐作戦、ぜひ私共にもご参加のご許可をいただけますよう、伏してお願い申し上げます」
トモミ様は、そのご気丈なお肩を微かに震わせました。
「何てお礼を言ったらいいのか、分からないわ。……サン、私も、領民のためには何でもします」
「トモミ様も、今何でもなさるとおっしゃいましたね。承知いたしました。では、お二方にお願いいたします。今宵は領地を上げての大規模鍋パーティーとなりますので、その手配の程をなさって下さいませ。
材料は、倒したてほやほやの巨大生物でございます」
お先にネタバレを申し上げますが、次回の魔王戦、超楽勝でございます。
どちらかと申しますと宴会がメインになりますかと。