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魔法執事の変態日記でございます。  作者: あうすれーぜ
お嬢様の小学生時代でございます
111/150

第111回 冬休みでございます (上)


 学期末試験が終わりますと、王立魔法学校は冬休みに入ります。

 年を越し、春になりますと学校が再開されます。


 冬休みが長いのは極めてうらやま……

 ではなく、多くの生徒の通学や生活への配慮となっております。


 このクラリオン王国は、寒冷な土地の面積が多くございます。

 冬場は雪に閉ざされる地域もそれなりにございまして、お嬢様のお住まいのルビンフォート領も、高原地帯ということでその例にもれません。


 試験が無事終わりましてこれから長期休暇、生徒の皆様は最高のご気分と推察いたします。

 非常勤講師のわたくしといたしましては、余り浮かれすぎてはいけませんよと嗜めるところではございますが……


 今回は、ちょっぴり事情が異なりまして。




『ふぇっふぇっふぇ。奴隷商よ、お主も悪よのう』


 わたくし、ただいま全身をテープレコーダーのように使用しておりますので、ちょっと他の音声を控えさせていただいております。


「まあ……。これ、絶対相手の方は『ぐっへっへ。教頭先生ほどではございませんよ』とか言ってますわよね」


「んんむ。ようやく尻尾を掴みましたわい。それにしても、天下の魔法学校の教頭が一枚噛んでおったとはのぅ。いや、執事殿。ご協力感謝いたします」


 憲兵詰所でお茶をいただきながら、わたくしと、トモミ様もケイヴ・ゴールド隊長様にご報告いたしております。


 トモミ様は、空気椅子の姿勢でおりますわたくしの膝の上に優雅かつ清楚に掛けられ、わたくしの肩の上に紅茶のソーサーを静かに戻されました。


「隊長様、お役に立てまして何よりですわ。では、サン。学校に参りましょう。ジョーを待たせてしまっては可哀そうよ」


 紅茶のソーサーがわたくしの骨伝導で細かく振動いたしまして、トモミ様そっくりの疑似音声で『ふふふ。役得役得』とささやくような音がいたしました。


 トモミ様は、ばっと紅潮され、お顔を細長い指先で覆われました。

珍しくトモミ様落ちでございます。


わたくしをテーブルと椅子、両方として同時に使いこなされるトモミ様。

流石の一言でございます。

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