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第六話

俺たちよりも年上の女性だったユズリハさんとナノハさんとともに、街道を進む。


「ん、兄さん」


ギルに渡されたのは干し肉。


「いつ出した」

「さっき〜。あ、ユズリハさんたちも食べますか〜?」

「これ、羊の肉ですか」

「初めて食べます」


心なしか彼女たちの瞳がキラキラと輝いている気がする。

ギルは二人に干し肉を渡すと、先程一緒に取り出したらしい剣を腰に差す。

俺は何となく座って食べ始めたユズリハさんとナノハさんの隣に腰を降ろした。

すると、ナノハさんがピクリと肩を揺らす。


「あの、近いです」

「え、あ、ごめん、じゃなくて、すいません」


つい素で喋り、敬語で言い直す。座る位置を横にずらして、干し肉を齧る。


「あ〜! 兄さんってば抜け駆け!?」


その言葉に首を傾げた。抜け駆けも何も、ただ同行者の隣に座っただけである。

そもそも、彼女たちに会ってから妙にギルは親切だ。やけに優しいというか気を使ってるというか……。


「うん、おかしい」

「酷いね!? 急に百面相し出したと思ったら何なのさ」

「何もなにも、なんかおかしいとしか」

「兄さんはそれしか言えないの!?」


おかしいものはおかしいのである。


「ところで」


ユズリハさんが口を開く。


「あなたがたは、どう戦闘を行うつもりでいるのです? 遭遇時の状況を見ると、そういった経験はほとんどなさそうです」

「だからこそ姉様に指南を乞うてきたのだろうと思ったのですけれど」


姉妹が口々に言う。

戦闘経験はない。あの時が初めての魔物との遭遇だった。

しかし、どう戦闘を行うか? とはどういう意味だろう。


「一応指導するとなれば、生徒がどこまで出来るのか確認すべきでしょう」

「えっと、使える魔法とか剣の腕とかを言えばいいってこと、ですか?」


俺の問いに無表情のまま頷くユズリハさん。 この人、無表情がデフォルトか。


「俺は、魔法でギルのサポートをしようと考えてt……ました。使えるのは水と回復の初級、中級の一部」


一応念の為、三属性持ち(トリープロ)なのは黙っておく。少ないらしいし、土魔法で使えるのは初級だけ。ショボい……。練習は続けたいけど……できるかな。

ギルはというと、剣術の適正があると伝えてる。あいつの場合、姉妹のどっちかと手合わせした方が実力は分かってもらえると思うけど、さてどうするのやら。


「ふむ……アルベルトさんは武器は使用しないのですか?」

「適正ないんで」

「そう、ですか。となると御兄弟で前衛と後衛という構成になるのですね」

ユズリハさんは口元に指を当てて考えて込む。今全然関係ないけど、すごく色っぽい。なんてことない仕草なのに、女性って不思議な生き物だ。


なんだかこっちが勝手にお願いしたのに真剣に思案してくれる。すごい申し訳ない気持ちになる。


「手合わせ、しますか」

「姉様! 手合わせはナノハにやらせてくださいませんか!?」

「まったく、貴女という人は……。まだ暴れ足りないのですか。……ギルベルトさんの方は任せます。実戦用のナギナタを使っても構いません」


ナノハさんが妙にギラついた目で姉であるユズリハさんに迫る。

致し方ないと言った風にそうナノハさんに告げると、彼女は俺と向き合う。


「使用できる水魔法の全てを私に撃ってきてください。勿論、私も反撃させていただくので遠慮は要りません」


倒れそうになるのを我慢し、ぐっと地を踏みしめる。

まさか、俺も手合わせをし、人に向かって魔法を撃つことになるなんて想定外だ。てっきり、何かを的にして威力等を確かめるのだろうとばかり思っていた。


「とはいえ、客観的視点も重要です。まずはナノハと貴方の弟の手合わせを分析することにします」


ギルたちの方を向くと、ギルとナノハさんは既にお互いに武器を構えていた。


ギルはついさっき腰に差していた剣、ナノハさんは槍に似ている変わった武器を構えている。おそらくアレが“ナギナタ”だろう。


二人の視線が絡み合う。その一瞬後、始めの合図もなしに試合が幕を開けた。

ちょっとした設定


一属性持ち→ウーニコ

二属性持ち→ドッピア

三属性持ち→トリープロ



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