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第四話

目を覚ますと、外は夜が明け始める頃だった。

俺は一度伸びをすると、昨日渡された旅装一式に着替え出す。

厚地のシャツとズボン、その上からベストを着た。さらに、ブーツとウェストポーチも身につける。ロングコートはまだ着る必要はないため、亜空間にしまう。

亜空間とは、どんなに魔法の使えない人でも必ず使える反則な魔法である。

そもそも魔法というのは、精霊たちから“力”を借りて行使するものである。基本精霊たちから“力”を借りることができなければ使えないのだが、例外が亜空間と呼ばれる魔法だ。

生命力を使って精霊たちから“力”を借りる通常の魔法と違い、自分の生命力のみを使って行使できるからこその例外なのだ。


「……起きてるか? あいつ……」


頭の中にめちゃくちゃ寝起きの悪い弟の姿が浮かぶ。

普段より早い時間に起床したのは下の子供たちが起きてこないうちに出てしまおうと考えたからである。この考えは勿論キースも知っている。だからといって、早く起きられるとは思えない。起きられるはずがないのだ。声を張り上げ、毛布を剥ぎ取り、蹴飛ばしても意識を覚醒させるのには時間がかかる弟がそう簡単に起きられるなら俺は苦労していないだろう。

そう思いながら毎朝の恒例行事を行う俺は死んだ魚のような目をしていたに違いない、絶対そうだ。

朝食べる分は昨日のうちに渡されていたしキースが起きて着替えてくるのを待っているだけでいい。

待っているだけというのはなんだか手持ち無沙汰で、洗面所に立ち桜色の髪をいじってみたりする。

ここは一年を通して涼しい気候で、俺たちほど鮮やかな色彩を持っているのは珍しい。銀髪だったり、アイスブルーの瞳だったり、淡い色の人が多いのだ。

ついまじまじと鏡に映る自分を見ていると背後から声がかかった。


「何兄さんってば自分に見蕩れてるの〜? ナルシストだったなんて知らなかった〜」


そんなことをのたまうキースの頭をはたいた。


「んな訳ないだろ、このバカ!」

「そんなことよりさあ、コレ見てよ!! 可愛いでしょ〜?」


俺の抗議はあっさりとスルーされてしまった。

何だよ……そんなことじゃないし……俺は断じて自己愛主義者ではないのだ。……結構ぞんざいに扱われることは多いけど……。別に落ち込んでなんかいない。違うったら違うんだからな!


「ねえ見てってばぁ! ほら!」


いや、見ろって言っても俺の格好とそんなに変わんないだろう。

そう思いながら、俺はキースの格好を改めて眺めた。

……もう呆れしか出てこないんだけど。格好を見て言えることはこの一言だ。

なんと弟は太ももまである長い靴下をはいていたのだ。無地の黒で、ずり落ちないように白のリボンで留めてある。なんというか、改造された短パンと妙に長い靴下の間に覗く白い肌に目が吸い寄せられる。

べ、別に、似合っていない訳じゃない。高く結い上げられたさらさらふわふわの、俺と同じ桜色の髪や、少し着崩してる旅装もカスタムした短パンに、長い靴下も十分似合ってる。ただ、いつもの如く完璧な女装だったから脱力してしまっただけなのだ。


「んも〜そんなに似合ってるんだ〜? 嬉しいなあ〜」


そんなに隠さなくてもいいじゃん、などと言葉を紡ぎ続けるキースにぎょっとする。

な ん で 思ってることがバレてるんだよ!?


「兄さん、顔にぜ〜んぶ書いてあるよ〜」

「…………」


まじかよぉ……。なんか泣きたい。泣かないけどそれくらい情けない気分だ……。心の中がバレバレって恥ずかし過ぎる……!!


「ご、ごめんって兄さん、謝るからそんな泣きそうな顔しないでよぉ」

「…泣きそうな顔なんてしてないし」

「そう……? で、でも! 似合ってるって思ってくれたのは嬉しいよ! やっぱり兄さんは優しいねぇ」


真っ直ぐに伝えてくる言葉に、顔が熱くなる。


「別にっ、優しくなんかない」

「優しいよ〜」


そう言ってぎゅうぎゅう抱きついてくるキース。ちょっと苦しい……。


「もう出発するよ!」


気はずかしいのもあって俺は早く出発しようと動き出す。キースも待ってとか言いながら後をついてくる。

これからどんな旅になっていくのかワクワク、それと同時に少し不安に思いながら俺たちはドアを開いた。

ニーハイktkr!! 僕はめっちゃニーハイ大好きでどうしても登場キャラにはかせたかったっ!!! 公開なんて欠片もない!! 絶対領域万歳!!!!


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