間章2 フェミニスト座談会
間章2 フェミニスト座談会
一子:「読者のみなさん、ここまでの、『フラッシュバック』の物語、どうや?面白い?それは嬉しいな。ただ、説明ゼリフが多くて、ちょっと難しいかもしれんと、おばあちゃんは心配しとるんやけどな…。まあそれでも、最後まで読んで欲しい、それがおばあちゃんの願いや。
さて、今からは、座談会パート2ということで、今度はフェミニストの人らに、集まってもらったで。これから、フェミニストの人らに、自分らの性格診断を話してもらう予定なんやけど、その前に、フェミニストにとっては嫌なニュースの、科学の進歩について、おばあちゃんから話すわな。前にちょっと説明があったと思うけど、この、『フラッシュバック』の世界の、現代の科学は、ものすごい進歩をしとる。具体的にどういうことができるかっていうと、まず、地球が滅んでもええように、宇宙ステーションが作られとって、何かあった時にはそこに移住できるようになっとる。他には、医学も進歩しとって、いわゆる『不治の病』とされとるものは存在せえへん。それで、ここまで科学が進歩したのは、産業革命期や。読者のみなさんが生活しとる、現実の世界や、主人公の一志が生活しとった、建前の世界でも、産業革命期はものすごい科学の進歩があったんやけど、この『フラッシュバック』の世界は、それ以上に科学が発達したんや。まあ、それにゼータがからんどる、っていうのは、何とも言えん話やけどな。
じゃあフェミニストの人らに語ってもらうから、最後まで付き合ってな。じゃあ、まずはタクシーから行こか。タクシーにもいろいろあるけど、とりあえず、1番タクシーらしい、『十座』のAさん、よろしくな。」
A:「Aです。今から私の性格診断である、『十座』について説明したいと思います。十座の基本的なコンセプトは、『大人への反抗』と、『一匹狼』です。まず、『大人への反抗』についてですが、私たち十座は大人が嫌いで、いつまでも子どもでいたいという、ピーターパン・シンドロームを持っています。そして、大人が作った社会が嫌いで、それに反抗したいという、強い気持ちを持っています。具体的には、勤め先を遅刻したり、どこかに落書きをしたり、仕事をわざと間違えたりするなどの行動を、反抗の証としてとります。これらの行動を、途上国ではアーティストとして出し、どの遅刻や落書き、仕事間違いがかっこいいか比べ、先進国では、この言葉は嫌いですが、『決められた通りに』、フリータイムで決めた手順に沿って行います。
もう1つのコンセプトの、『一匹狼』ですが、十座の人間は、セントラルパーク側の人間と違い、基本的に群れるのが嫌いです。もっと十座らしい表現を使えば、『友達関係、人間関係がめんどくさい。』といったところでしょうか。だから、十座同士であっても、基本的に群れることはありません。まあ、十座同士なら、職場でいう所の、『同僚』のような関係になりますかね。
もちろん、人との関わりは十座にもあります。でもそれは、あくまで表面上のものです。専門用語で言うなら、『電話応対』ですね。これは、電話応対するように、ある程度の距離を保ちながら、うわべだけの付き合いをする、といったものです。
あと、十座は特に、自分の親を嫌います。今風の言葉を使えば、『親なんてウザい。』といった所ですね。ちなみに、この感情のことを、専門用語で、『サグラダ・ファミリア』と言います。」
一子:「十座は、おばあちゃんらとは対極の性格診断や。おばあちゃん的には、遅刻も落書きも全然かっこええとは思わんし、一匹狼、電話応対は寂しいな。次は、十座とはちょっと違う、『東京無線』についての説明や。Bさんに、説明お願いしよか。」
B:「『東京無線』のBです。東京無線は、十座とよく似た性格診断です。基本的に、十座と同じ一匹狼で、人付き合いも、電話応対程度です。そして、サグラダ・ファミリアも、東京無線は持っています。ただ、十座と決定的に違う所は、『エレクトロニクス』の重視ですね。
エレクトロニクス、というのは、例えば、『勤め先に遅刻をしない。』や、『交通ルールを守る。』など、人間が生きていく上での、最低限度の道徳規範のようなものです。この、エレクトロニクスを、東京無線はしっかりと守ります。そのため、十座のように遅刻することもなく、規則正しい生活を送ります。
ただ、東京無線は、決して真面目な生き方をしているから、エレクトロニクスを守っているわけではありません。ここで、東京無線が持つ、2種類の、『息苦しい』について説明しておきます。1つは、十座と同じく、『人間関係が息苦しい』というものです。そして、もう1つは、これは東京無線独特のものですが、『自分の頭の中のもやが、息苦しい。』というものです。これはどういうことかというと、『頭の中に浮かぶイメージなど、精神的なものを見ると、もやもやして息苦しくなる。自分の頭の外の世界に行きたい。』といったものです。まだ分かりにくいと思うので、例を挙げます。例えば東京無線にとって、時計は必需品です。時計を見ずに、体内時計だけで生活するとなると、自分の頭の中のイメージに支配されているようで、かなり息苦しくなります。
そして、この性格のせいで、途上国でアーティストとして出すアイデアも、専門用語で、『メーカネー』と言うのですが、機械的なものが多いです。これも、自分の頭の中は息苦しく、機械的なものならそうはならないからですね。ちなみに、この、『メーカネー』という言葉は、『メカ』から来ています。
それで、先程の、エレクトロニクスについてですが、東京無線がこれを守る理由は、規則正しく動いていないと、息苦しいからです。十座のように、自分で考えて、時間通り、決まった通りに動かないというのは、体内時計を連想させるので、東京無線は苦手です。まあ十座は、そのように時間に縛られることが、逆に息苦しいみたいですが。つまり、東京無線にとってエレクトロニクスは、道徳規範でも何でもなく、単なる利用しているものにすぎない、ということです。
ひとまず、これで東京無線の説明を終わります。」
一子:「東京無線も、おばあちゃんらとは対極に近い性格診断や。まあ、エレクトロニクスを守るだけ、親近感はあるけどな。それで、言い忘れとったけど、セントラルパークの人間も、オオカミとか、一部の性格診断を除いたら、エレクトロニクスは守る方や。その理由は、『決められた通りにやる』ことを重視するからや。『決められた通りに』と、『道徳規範』って、つながりがあるの、分かるやろ?じゃあ次は、タクシーの中でも、ちょっと変わった性格診断行こか。『はっぱ』のC
さんや。」
C:「はっぱのCや。まず、わしらの性格診断の、『はっぱ』の由来やけど、これは、タバコから来とるんや。タバコのこと、『はっぱ』とも言うやろ?それが性格診断の名前にもなっとるわけや。だから、わしらの性格診断は、ほぼ全員タバコ、いやはっぱを吸っとるぞ。
それで、性格診断の説明や。まず、わしらはっぱも、『息苦しい』、って感じるタイプの人間で、みんな一匹狼や。それに、親も嫌いで、サグラダ・ファミリアも持っとるぞ。あと、エレクトロニクスは好かん。
そやけど、十座とか東京無線とかと、決定的に違うことがある。それは、『人を狙う』ことをすることや。十座とか東京無線は、『仕事』を優先するから、『人を狙う』ことをせえへん。そやけど、わしらはっぱは、『人を狙う』ことがないと息苦しいんや。ただ、ロミオの狙うとは勝手が違うから、今からその説明をするわな。
まず、『人を狙う』ことをする理由からやけど、これはロミオと一緒で、息苦しいからや。ロミオは、『仕事』の世界ばっかりやったら息苦しいから、『狙う』を生活の中に入れてくるんやったな?それと同じで、はっぱも、『仕事』ばっかりやったら息苦しい。ただ、ここは大きな違いやけど、ロミオは、新井出やない、CIAやったらCIAとしての任務をするために、『人を狙う』ことをするやろ?そうじゃなくて、わしらはっぱは、『ファインダーの世界』におるために、『狙う』ことをするんや。とは言っても、セントラルパークみたいに、京都のファインダーやなくて、祇園のファインダ―や。つまり、ロミオとはっぱでは、『仕事』の外へ出るための世界が違う、ってことやな。ちなみにこのはっぱは、動物にもあったぞ。
じゃあ今から、はっぱの『狙う』の流れを、分かりやすく見ていくわな。まずはっぱは、知恵比べは好かん。だから、アーティストは基本的におらん。まあどっちにしろ、途上国ではアーティストもやらなあかんけどな。それでおるんは、シナリオライターと、あの方だけや。まず、シナリオライターからやけど、はっぱも、他のタクシーと同じように、仕事中は憂いの篩を使うんや。そこを狙うんは、ロミオと一緒や。それで、『狙う』モードに入ったら、ファインダーを使うわけや。そこで、バンカーショットを打たなあかん。例えば、飲み会っていう、『仕事』中で、たまたまみんなから離れて、1人で飯食っとる時間があるとするやろ?シナリオライターはそこを狙って、『何で1人で食っとるんや?』って言うわけや。そこで、バンカーショットを打たなあかんのやけど、はっぱはロミオと違って、QBの意識はないから、その場でバンカーショットを打ってもええ。この場合やったら、『自分から飯食って、酒の席を盛り上げよるんや。』とかな。もちろん、その場でバンカーショットを、毎回打てるわけやない。その場合は、ロミオと一緒で出とかなあかん。ただ、この時にロミオと違うんは、例えば飲み会やったら店が空いとる時間に、戻ってこなあかん。はっぱも、バンカーショットの期限は、たいてい1日やけど、例えば次の日店が休みで、閉まってある時は、来れへん決まりになっとる。だから、1日以内で、店が空いとる時間に戻ってきて、バンカーショットを打たなあかん。これの理由は、ロミオに比べて、はっぱはまだ、『仕事』とか、バグ処理を気にするからや。一応、はっぱもタクシーの血が入っとるからな。
あと、もうちょっと説明すると、ロミオは必ず1日空けてからバンカーショットを打つけど、はっぱは1日以内で店が開いとったら、いつでもバンカーショットを打ってええ、ってことや。
それと、『延長』のルールも説明しとくわな。例えば飲み会終了ギリギリで、もうすぐ店が閉まる、それで次の日店が開いてない、って時に、狙われたとするやろ?そういう時は、バンカーショットを打つ方が、圧倒的に不利やな?その時に、『延長』のルールが使われるんや。これは、適当な理由があれば、この場合やったら店をもうちょっと長く開けられる、ってルールや。例えば、『飲み会が盛り上がっとるから、もうちょっと店閉めるんを待っといて欲しい。』って、店側に頼むとかな。あと、例えばいわゆる、一般的な仕事やったら、『残業したい。』っていうのもありや。こんなルール使っても、バンカーショットを打てんかったら、その時はボギーや。
もう1回おさらいしておくと、『仕事』中は憂いの篩を使う、それで、『狙う』の時は、ファインダーを使う、そのファインダーの世界が好きやから、『狙う』も好き、ってことや。ただ、セントラルパークの人間みたいに、ずっとファインダーは…息苦しいわ。
次に、あの方の説明や。ロミオのあの方の場合、まず体の癖とか、弱みを見つけて、それをあの方、弱みを見つけられた人、第三者の3人で確認するんやったな?ここまでははっぱも一緒や。それで、ロミオとはっぱの違いは、弱みを握られた人の対応や。ロミオの場合は、弱み握られたら、バンカーショットやったな。でも、はっぱは違う。はっぱは、弱み握られたら、『言えるように』せなあかん。つまり、弱みを握られた人に質問して、弱みを連想させる言葉を言わしたらボギーや。例えば、歩く時に体が傾く、っていう癖を、弱みとして握られたとする。あの方は、その相手に1回、質問する権利があるんや。この場合は、/←この線は何や?って質問をすることにするわな。そこで、『斜め』って答えたら、体の傾き、っていう弱みを連想させる言葉になるから、ボギーや。それで、それ以外の、例えば『対角線』って答えたら、セーフや。それで、1回セーフになったら、もうその弱みに関して質問したらあかん、ってルールや。この、ボギーかセーフかの判断は、第三者が審判としてすることになっとる。あと、ボギーかセーフかあいまいな場合は、『保留』や。『保留』された場合は、あらためて、また別の質問をせなあかん。その2回目の質問で、ボギーかセーフかはっきりさせる、ってやり方や。
でも、例えばさっきの『対角線』なんか、はっきり言ってあいまいやろ?その時に役に立つんが、『言葉遊び』や。例えばさっきの質問やったら、『斜めの線…線は、しないの、せんや!』と自分で言うわけや。つまり、『斜め』が『せん』で消える、っていうカラクリやな。これやったらはっきり、セーフ、って言えるやろ?この言葉遊びは、はっぱの得意芸や。実際、はっぱの弱みの『言えるように』のほとんどは、この『言葉遊び』や。
以上が、はっぱの『狙う』の特徴や。」
一子:「はっぱは一匹狼やし、独特のルールで人を狙うしで、おばあちゃん的にはあんまり好きやないな。あと、このタイプの性格診断の特徴の、『トイ・ソルジャー』と『スラムダンク』について説明しとかなあかんな。じゃあ、東京無線のBさんから、説明お願いしよか。」
B:「再びBです。まず私の性格診断ですが、私は都会より、田舎の方を好みます。そして、見た目は普通より、派手なものを好みます。こういった性格診断のことを、『トイ・ソルジャー』と言います。それとは反対に、田舎より都会を好み、見た目は派手より普通を好む性格診断の人もいます。その性格診断のことを、『スラムダンク』と言います。
ここで、面白い現象が生じます。今からそれを説明しますが、十座、東京無線、はっぱの、3つの性格診断は、『エレキ』という感情を持っています。この『エレキ』というのは、勝っているもの、などを嫌う感情のことです。例えば、『勝ち組が嫌い』、『見た目がチャラチャラした奴が嫌い』などの感情です。ここで、トイ・ソルジャーとスラムダンクの間に、ある交渉が成立します。それは、トイ・ソルジャーが、『都会なんて嫌いだ。勝ち組の匂いがする、都会は好かん。』と思っていい代わりに、スラムダンクが、『見た目の派手な、チャラチャラした奴は好かん。』と思っていい、という交渉です。そして、お互いに、
トイ・ソルジャーと、スラムダンク(aとb)の間で、
『じゃあ、お互いにエレキの感情を出そうか。
a『都会、勝ち組、チャラチャラしやがって…。』b『見た目、チャラチャラしやがって…。』
となるわけです。どうです?面白いでしょう?少なくとも、セントラルパーク側の人間には考えられないことだと思います。
また、各性格診断によって、田舎・都会の種類は様々です。例えばはっぱのスラムダンクは、昭和の都会を理想とすることが多いのに対し、十座のスラムダンクは、現代の、スタイリッシュな都会を理想とすることが多いです。
とりあえず、この3つの性格診断の、トイ・ソルジャーとスラムダンクは、この、エレキによって、面白い交渉が成立する、ということを、知っておいてください。」
一子:「おばあちゃんらでは考えられんわ。あと、『ELO』と、『英田』も、説明お願いしよか。」
B:「そうですね。まず、『ELO』というのは、都会が好きで、見た目も派手な方がいい、という性格診断です。また、『英田』というのは、田舎が好きで、見た目も普通がいい、という性格診断です。そして、興味深いことに、この2つの性格診断は、性周です。つまり、動物には、この2つの性格診断はありません。もちろん、トイ・ソルジャーとスラムダンクは、動物にもありますよ。ただし、これは『就職相談』を除いて計算しています。就職相談については、後で説明があると思います。
あと、後でややこしくなると思うので、先に説明しておきますが、『トイ・ソルジャー』、『スラムダンク』というのは、さっきのタクシーの3つの性格診断の間でしか使われない用語です。そのため、例えば田舎の、見た目の派手な暴走族のロミオには、『トイ・ソルジャー』という言葉は使いません。そして、『ELO』『英田』は、この限りではありません。つまり、暴走族などのロミオにも、『ELO』『英田』という言葉は使います。ただし、セントラルパーク側の人間には、これらの言葉は使われません。」
一子:「ちょっとややこしいかもしれんけど、覚えて欲しいことや。次は、『1LDK』の説明行こか。Dさん、お願いするわ。」
D:「『1LDKのDです。私たちもタクシーですが、十座や東京無線、はっぱとは性格が全然違います。私たちが1番大事にしていることは、『日常を、楽しく生きる。』ということです。そして、私たちは一匹狼ではありません。一匹狼は、寂しいです。また、サグラダ・ファミリアも持っていませんし、『大人への反抗』という態度もとりません。ただ、十座のピーターパン・シンドロームは、少し分かる気はします。まあ、これには個人差がありますが。
では、私たちの日常を、簡単に説明したいと思います。
まず私たちは、日常を、どうやったら楽しく過ごせるかを考えます。例えば、普段の会社勤めなどの仕事をどうすればいいか、また休み時間にどういう会話をすれば楽しいか、また、たまには旅行に行きたい…などです。これを、先進国では『決められた通りに』行い、途上国ではアーティストとして知恵比べをします。でも、私たちの理想は、あくまでそのような制約のない、カサブランカです。後で出てくる、『秘密の部屋』もそうですが、読者のみなさんの感覚に、1番近い暮らしをしているのが、1LDKかもしれません。
あと、1LDKのもう1つの特徴として、『郊外暮らしを好む。』というのが挙げられます。なぜなら、郊外で暮らさず、仕事場や大都会でずっと暮らしていると、少し息苦しいからです。この点は、後で出てくる『秘密の部屋』と異なる点です。
また、1LDKの中には、『狙う』ことをする人もいます。でも、これはロミオやはっぱとは違い、あくまで気分転換で、遊び感覚です。ルールは、基本的にはロミオと同じですが、『仕事』を優先するため、いわゆる『次の日は店が閉まってあるから来れない。』というルールは採用します。そして、バンカーショットには、いわゆる『柿の種』を多く使います。」
一子:「1LDKは、分かりやすい性格診断や。次は、それとよう似た、『秘密の部屋』行こか。Eさん、よろしくな。」
E:「秘密の部屋のEです。秘密の部屋のコンセプトも、『日常を、楽しく生きる。』です。そして、フリータイムで考えることや、気分転換、遊び感覚で『狙う』ことをすることなどは、1LDKと同じです。ただ、何点か、1LDKと違う点があるので、説明しておきますね。
まず、秘密の部屋の内定は、あくまで『先進国』だということです。この点が、『途上国』が内定の1LDKとは異なります。とは言っても、セントラルパークがいい、という意味ではありません。1LDKもそうですが、今のセントラルパークは、息苦しいです。そうではなくて、読者のみなさんが思うところの、先進国に住むのが、理想的だということです。いわゆる読者のみなさんの、『先進国』と、セントラルパークとでは、全然違いますよね?つまり、私たちは、一般的な先進国で、日常を、楽しく暮らすのが理想なのです。ちなみに1LDKは、いわゆる、カサブランカに住むのが理想で、この、『カサブランカ』は、読者のみなさんが思うところの途上国とは違い、『フラッシュバック』劇中のカサブランカのイメージです。
あと、もう1つの違いは、秘密の部屋は、職場の近くに住みたがる、という点です。なぜなら、職場の近くでないと、寂しいからです。以上で、説明を終わります。」
一子:「この、秘密の部屋なんやけど、これをタクシーに含めるかどうかは、議論が分かれるんや。『秘密の部屋は、先進国での会社勤めが目標やから、タクシーやない。』って意見と、『1LDKがタクシーやったら、秘密の部屋もタクシーや。』っていう意見、2通りあるわけやな。一応、ここではタクシー、ということで統一しとくわな。それと、この、秘密の部屋は、さっき言った、『先進国での、会社勤め』って言う点から、『セントラルパークにとりこまれた。』って考える、セントラルパーク系の人間もおるんや。後で分かると思うけど、この点が、秘密の部屋にとってつらいところやな。
次に、劇中で出て来た宮島店長の、クウェートの説明行こか。じゃあ店長、お願いするわ。」
宮島店長:「今日はこの場を借りて、私たち『クウェート』の性格診断の説明をしたいと思います。まず私たちは、1LDKとよく似ていて、『日常を、楽しく生きる。』ということを目標にしています。それで、一匹狼ではないこと、サグラダ・ファミリアは持っていないこと、『大人への反抗』という態度もとらないこと、十座のピーターパン・シンドロームは、少し分かる気がすることなども、1LDKと同じです。それで、郊外に住むのがいいか、それとも職場の近くに住むのがいいかは、人それぞれです。また、『狙う』行為は、1LDKと同じで、遊び感覚でやる人もいます。それと、私たちクウェートは、途上国、いやカサブランカが理想です。
繰り返しになりますが、今までの私の話で分かる通り、私たちクウェートは、1LDKとよく似ています。ただ、決定的に違う所があります。それは、本編でも出て来ましたが、『HPの、QB』を重視するということです。これはおさらいになりますが、私たちクウェートには、理想のHPがあって、それは次官です。なぜなら、次官のHPが、1番濃度が濃く、現実の世界から、ファインダーの世界に逃避しやすいからです。この点は、はっぱの『狙う』とも、共通点がありますね。
以上で、説明を終わります。」
一子:「あと、タクシーには他にも、前に説明した、マーシャルやトニー、ソールドアウト、ソリューションとかがある。ここで、各タクシーの性格診断を、キーワードと絡めておさらいしておこか。
まず、1番タクシーらしい性格診断は、十座、東京無線、はっぱや。この3つは、前に説明のあった、X軸の『-1』近辺におるし、ホイッグも持っとる。それで、ホイッグの派生形で、エレキとかの感情もあるわけや。それと、サグラダ・ファミリアを持っとること、一匹狼な所も、この性格診断の特徴や。あと、『人を狙う』ことをするんは、はっぱだけで、独自のルールがあるんやったな。
次に、1LDK、秘密の部屋、クウェートや。この3つの性格診断は、エレベーターとかロミオとかと違って、出世して上を目指すことをせえへんから、タクシーに含まれとるんやけど、例外的なタクシーや。まず、この3つはX軸で言う所の『-1』やなくて、1LDKとクウェートは『-0・5』、秘密の部屋は『+1』や。つまり、ヤンキーではない、ってことやな。それに秘密の部屋は、労働者階級でもない。だから、秘密の部屋をタクシーに含めることは、議論が分かれる所やけど、ここでは含める、っていうのは前に話したな。
それで、1LDKとクウェートは、一応ホイッグは持っとるけど、十座、東京無線、はっぱに比べたら、その度合いは弱いんや。あと、秘密の部屋は、基本的にホイッグは持ってない。あと、『人を狙う』ことは、遊び感覚でする、ってことやったな。
次に、俗に『MCハマー』って言われるタクシーについてや。これは、高浜家の人間に多く見られた性格診断やから、高浜家の『ハマ』をとってこう呼ばれとる。もちろん、高浜家以外にもこの性格診断はいっぱいおるけどな。具体的には、マーシャル、トニー、ソールドアウト、ソリューション、blues、デスぺラード、宗藩のソリアーノとかや。宗藩のソリアーノは…、おばあちゃんもびっくりやったわ。
この、MCハマーの特徴は、『自分独自の生活リズムがあって、特徴的なライフスタイルを持っとる。』っていう所や。一応タクシーの生活パターンを送ることは送るんやけど、各性格診断によって、考え方もバラバラで、人とかぶることが少ない、っていうことも特徴の1つやな。高浜宗藩を見たら、そのことがよう分かるやろ?
まあ、そんなわけで、MCハマーは、ホイッグも、持っとったり、持ってなかったりや。『人を狙う』ことも、する人もおれば、せん人もおる。ちなみに、この、MCハマーは、高浜家に多い、ってことと、その希少性から、昔の時代、フェミニストからは、崇められとったんや。現代も、その傾向はちょっと残っとるかもしれんな。
これで、タクシーの説明は終了や。次は、『企業戦士』行こか。Fさん、お願いな。」
F:「企業戦士のFです。私たちは、いわゆる『エレベーター』の性格診断です。とは言っても、セントラルパーク側ではなく、あくまでフェミニストの、エレベーターです。私たちの生活は、一般的に読者の方がイメージされている、企業戦士と変わりません。必死に働いて、出世を目指す、というタイプの性格診断です。それを、セントラルパーク内では、『決められた通りに』やります。あと、内定は秘密の部屋と同じ、『先進国』です。また、『人を狙う』ことは、気分転換にする人もいて、柿の種のバンカーショットはOKです。
また、私たちは、仕事以外の余暇の時間を、『medicineと呼んでいます。これは、英語で『薬』という意味ですよね?余暇の時間は、あくまで私たちにとっては、サプリメントと同じで、メインになるものではありません。以上が企業戦士の説明です。』
一子:「企業戦士は、おばあちゃんらでも分かりやすいんやけど、それとフェミニストが結びつかん、そやから場合分け、って思っとる、セントラルパークの住人は多いな。この点については、あとで詳しく説明があるわ。次は、ロミオについて、より詳しく説明してもらおか。ロミオと言えば、山田君や。」
山田:「本編で何度か登場した、山田です。ロミオの生活パターンについては、本編でも説明がありましたので割愛します。ここではまず、ロミオの中でも特殊な性格診断である、『MEN IN BLACK』について話をしたいと思います。
まず、メン・イン・ブラックの名前の由来ですが、これは、トミー・リー・ジョーンズや、ウィル・スミスが出演している、映画のタイトルから来ています。まあ、元をたどれば都市伝説から来ているのですが。それで、映画の中で、メン・イン・ブラックという組織は、宇宙人を相手に活動していますよね?この活動こそが、この性格診断のコンセプトです。映画の中での宇宙人は、『フラッシュバック』劇中の世界での、『動物』に相当します。この、動物と深く関わって生きようとするのが、メン・イン・ブラックのコンセプトなのです。
この、メン・イン・ブラックですが、映画で描かれている『MIB』とは、共通点もありますが相違点もあります。まず、共通点ですが、宇宙人、いや動物と密接に関わって生活する、という点が挙げられます。そして、彼らは、『Naboo』という考え方を持っています。これは、映画『スター・ウォーズ』に出てくる惑星からとった名前で、『スター・ウォーズ』での惑星のように、人間と動物が、入り乱れて生活している状態を、理想とする考え方です。彼らはこの、『ナブー』でないと、人間社会という狭いおりに閉じ込められたような気がして、息苦しいと感じるのです。
ちなみに、これに対して、メン・イン・ブラック以外のフェミニストが、動物に対して持つ感情を、『MMR』と言います。この名前は、ドラマ化もされた、漫画から来ています。特にドラマ版では、『MMR』という調査班が、宇宙人について調査しており、その時の宇宙人に対する見方は、『得体の知れない、恐ろしいもの』というものでした。『フラッシュバック』劇中の世界では、動物の存在は周知の事実なので、ドラマで描かれているほど恐ろしいものとして見てはいませんが、そんな私たちでも、実際に動物と会いたい、とは思わないです。この、『ナブー』と『MMR』が、動物に対する2種類の考え方です。
次に、相違点ですが、彼らは映画とは違い、動物とコミュニケーションをとることはほとんどないです。ちなみに、動物と人間との間には、『ノート交換以外、一切の接触を持たない。』という取り決めがあります。そして、メン・イン・ブラックは、このノート交換の際の窓口となる以外、動物との関わりはありません。
また、もう1つの相違点ですが、先程も述べましたが動物の存在は周知の事実なので、映画のように動物、映画の中では宇宙人の存在を隠そうとしたりするなどの行動をとることはありません。
そして、ここで言っておきますが、彼らもロミオに該当するので、普段の生活パターンは、ロミオと同じです。
ただし、一般的なロミオとは、決定的に違う点があります。それは、『性周』を気にする、ということです。性周、というのは、動物に存在していない事柄のことで、名前の由来は、動物の『習性』を逆にしたものであることは前にも説明がありましたね。メン・イン・ブラックは、性周をことさらに嫌うので、例えばセントラルパークの人間など、性周の性格診断に対していい顔はしません。また、例えば場合分けなど、性周の行動パターンに対しても、厳しい顔を向けます。もしこのような行動パターンをとったら、メン・イン・ブラックの場合はバンカーショットを打たないといけません。私たち一般的なロミオは、気にしないのですが。
ちなみに、メン・イン・ブラックの性格診断そのものは、性周です。そのため、メン・イン・ブラックは、自分が性周であることに対するバンカーショットを、始めに打たないといけません。
そして、メン・イン・ブラックが性周にこだわるのには、理由があります。それは、動物の世界が、フェミニストにとってのユートピアだからです。動物にも様々な性格診断がありますが、動物の場合はその全てがフェミニストです。もちろん動物にも、いわゆる原始時代には、フェミニストでない性格診断もありましたが、それらは戦争と自然淘汰の結果、消滅しています。彼らの口癖は、『なぜ人間だけこんなことに?ああ動物、うらやましい。』です。」
一子:「メン・イン・ブラックの考え方は、おばあちゃんは好かん。ただ、メン・イン・ブラックの出すアイデアは、おばあちゃんらにとって、めっちゃかっこええんや。なんでかっていうと、おばあちゃんらセントラルパークの住人も、ほとんどがナブーの考え方を持っとるからや。おばあちゃんらは動物の世界を、うらやましいとは全く思わへん。それでも、動物と人間ってくくりでノートを分けてまうんは、ちょっと寂しい。もちろん、全く一緒、ってわけやないけど、MMRでは、おばあちゃんらはもったいない、って感じるんや。
それで、メン・イン・ブラックのアイデアやけど、特に、性周のバンカーショットがかっこええんや。例えば、自分の性格診断が性周であることのバンカーショットの、代表的なもんとして、『人間社会に溶けこんで、活動しやすくするため。』っていうのがある。どうや?ええこと言っとると思わんか?もちろん、メン・イン・ブラックとセントラルパーク側とは、同じ言葉でも真逆の意味、っていうのは分かっとるけど、それでもかっこよく感じるんや。さらにやけど、メン・イン・ブラックのノートを読む時、おばあちゃんらはナブーに思いをはせることができる、っていうのも、人気の理由の1つやな。
じゃあ次は、メン・イン・ブラックとよう似とるけど、ロミオではない、『警察』についての説明や。Gさん、お願いしよか。」
G:「警察のGです。私たち警察は、ロミオではありませんが、生活パターンはロミオとほぼ同じで、『人を狙う』ことを主にしています。今日は、私たち警察の特徴である、『選民思想』について話したいと思います。
この、選民思想を簡単に表すと、『動物こそが、選ばれた完全な人種で、人間はその下に位置する劣等生物である。』となります。これで、読者の方もお分かりですよね?私たち警察は、動物に対して人間を一段、いやそれ以上に低く見ているのです。ちなみに、この思想は、メン・イン・ブラックの一部の人間も持っていますが、特に警察に顕著です。あと、前に説明のあった、テレビの中のスーパースターを、過度に尊敬する考えのことも、『選民思想』と言いますが、それとは名前は同じでも、何の関係もありません。また、警察は性周ですが、メン・イン・ブラックと他のロミオとの関係と同じように、『SP』と呼ばれる性格診断があり、これは動物にもありました。この『SP』は、普段は警察官の職務をしながら、ロミオのように『人を狙う』ことをします。ただ、性周は全く気にしません。
そして、これはメン・イン・ブラックの一部にも言えることですが、私たち警察は、特にセントラルパーク側の、人間に対して攻撃的です。例えば、セントラルパークを壊滅させ、動物主導の世界にするようなアイデアを、アーティストとして出します。そんなアイデアの代表例が、『番号札』です。このアイデアは、『地球上の人間全員が名前を捨て、スポーツの背番号のように、番号で呼び合う』というものです。このアイデアは、自分のノートに書かれる名前を、命のように大切にするセントラルパークの人間にとって、致命的な行為です。まあ、大半のフェミニストにとっても、受け入れられるものではないかもしれませんが、セントラルパークの人間ほどではありません。もちろん、このようなアイデアは実行されることはありませんが、考えるだけで楽しいし、セントラルパーク側にとってもダメージになりますね。ちなみに、私たちのようなアイデアを、『ラディカル・フェミニズム』、通称『ラディカル』と呼びます。この、ラディカルについて考えているのは、警察や、メン・イン・ブラックだけではありませんよ。一般のフェミニストの中にも、この戦争に参加するに当たって、このようなアイデアを出す人がいます。」
一子:「警察は、おばあちゃんらはかっこええとも何とも思わんけど…まあ、持ちつ持たれつや。次は、『クルーズ』のHさん、説明お願いしよか。」
H:「クルーズのHです。今から、私たちの性格診断である、『クルーズ』と、それに良く似た、『銀行』、『民主党』について、説明したいと思います。
まず、『クルーズ』の名前の由来ですが、これは豪華客船の、クルーズ客船から来ています。そして、私たちは、読者のみなさんが思う所の、セレブな生活をしています。『クルーズの旅を楽しめるような、生活をしている人々』という意味で、『クルーズ』と名がつけられているのです。
次に、クルーズの生活パターンについて説明します。私たちは、ロミオと同じく、『人を狙う』ことをします。また、『人を狙う』ことを『仕事』よりも優先させること、柿の種のバンカーショットは基本的には使わないことなど、細かな『狙う』のルールは、ロミオと同じです。ただし、私たちが『人を狙う』ことをするのは、息苦しいからではありません。むしろ逆に、寂しいからです。
どういうことかと言うと、私たちはこの、『人を狙う』ことを、バレーボールのラリーのように捉えています。つまり、バンカーショットを打ったり、アーティストとしてアイデアを出したり、シナリオライターとして狙ったりなどの行動を、レシーブ、トス、スパイクなどの、ラリーのように捉え、そのラリーをずっと続けたい、と思っているのです。そして、このラリーが途絶えてしまうと、寂しく感じます。そして、このラリーを続けたいがために、『仕事』よりも、『人を狙う』ことを優先するのです。また、私たちはロミオと違い、一匹狼ではなく、みんなと仲良くしたい、という考えをベースに持っています。
そして、私たちのようなタイプの性格診断には他に、『銀行』や『民主党』などがあります。銀行は、銀行員として、『人を狙う』ラリーをする人々のことで、『民主党』は、労働者階級でそれをする人々のことを言います。ちなみに、『民主党』の名前は、アメリカの民主党から来ています。民主党は、どちらかというと労働者階級から支持されていますよね?そこから、『民主党』という名前が使われています。
以上で、クルーズ、銀行、民主党の説明を終わります。」
一子:「ロミオとクルーズ、『人を狙う』目的は違うけど、やっとることはほぼ同じやな。そやから、お互いの性格診断同士で、アイデアを参考にすることも多いんや。
あと、フェミニストとは直接関係がないかもしれんけど、ここで、『3大ルール』について説明しとこか。この、3大ルールっていうのは、主に『狙う』についてのルールで、そのうちの2つは、ロミオ、タクシーの『狙う』についてや。もちろん、タクシーの中でも、はっぱとか、独自のルールを採用しとるとこもあるし、全てがこの、3大ルールに当てはまるわけやないけどな。それで、もう1つが、セントラルパークの、狙うについてのルールや。
もちろん、セントラルパークでは、『狙う』ことを嫌っとる人の方が多いんやけど、一応ルールは存在するんや。それで、この、セントラルパークのルールは、基本的にはロミオに近い。ただ、『言わさなあかん。』ってルールが存在する。これは以前、体育祭の時に、辻川君が使ったやろ?それを例に出して説明するわな。
このルールは、セントラルパークの、『ノートは体の一部』っていう考え方から来とる。そこから派生して、『ノートに書かれる、自分のしゃべった言葉も、自分の体の一部』って考え方があるんやけど、その考え方から、『自分の言葉で、自分が不利な状況に立たされた場合、バンカーショットやなく、相手にそれを回復させるようなことをしゃべらして、状況を打開せなあかん。』ってルールがあるんや。つまり、自分が一旦しゃべった言葉は、自分自身のバンカーショットだけでは取消が不十分で、相手に何らかのことを言わせて、初めて状況の取消が成立する、って考え方やな。例えば体育祭の時は、自分で、『声の調子が悪いから』って、自分に不利なことを言ったやろ?それを挽回するには、バンカーショットやなくて、相手、この場合は辻川君に、何らかの言葉を言わさなあかん。それで、一志は辻川君に『あばた(バーター)』って言わせて、状況を脱したわけやな。ちなみに、これはセントラルパークのルールやから、場の状況とは何の関係もない質問をしてもええし、近くにおる審判が、状況を脱した、と判断したら、どんな言葉でも有効になる。この場合やったら、『熊野の顔にできとるもんは何や?』っていう、場の状況とは関係ない質問でも有効やし、直接、『声の調子が悪い』とは関係ない、『あばた』でも、状況を考えて、不利な場面を脱出した、と判断できれば大丈夫や。
あと、これもセントラルパーク独自のルールなんやけど、この質問の際に、1回だけ、質問を発した人から、答えを言うことができる。体育祭の場合やったら、一志の方から、『にきび』って言ったやろ?それで、この場合は、『にきび』って言葉は使えん。相手は、『にきび』以外の言葉を、選ばなあかん、ってことやな。これは、何でも答えていい、ってなったら、あまりにも答える側が有利になりすぎるから、作られたルールや。
とりあえず、説明はこんなもんかな。これで、2回目の座談会も終了や。この後の本編も、楽しんで読んでな。」