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7 告白を悔いて


村の恒例の

ぶどう祭


うちの畑の

自慢のぶどうは

コンテストの

優勝カップを

もらいそこねた


内心穏やかじゃ

なかったけれど

冷静に見れば

妥当な結果


害虫の被害も

ひどかったんだ

仕方ない


だけどおまえは

例によって

そんな謙虚な検討や

反省なんかは

一切省略


帰る道々

駄々っ子みたいに

目に涙して

悔しがった


来年こそは

絶対うちが優勝すると

息まいた


そうさ

来年がんばりゃいいさと

あやうく口を

滑らしかけた

俺のほうこそ


途方もない

お門違い


おまえを笑えた

義理じゃない


来年の今ごろ

おまえがここに

いるはずなんか

ありゃしないのに


だったらこの際

お門違いの

ついでと行くさ


大笑い

されるの覚悟で

好きだって

告白してやる


深呼吸して

そう決めた


まん真ん中に

直球投げて

ホームランでも

見事に食らって

後腐れなく

退場してやる


そうすれば

すっきり諦めも

つくだろうって

大真面目に

思ってた


おまえの左の

薬指に

光る指輪を

見るまでは


ぶどう酒で

酔っぱらうなんて

初めてだった


医者先生が

くれたという

おまえの指輪の

素性を聞いたら

口が言うこと

聞かなくなった


「友達として好きだ」

なんて

間抜けな出だしに

輪をかけて


「俺たち2人は

気の合う同志

あうんの呼吸の

パートナー

よろしくな」なんて


とんちんかんな

意気投合まで


言った言葉を

取り消したかった

自分の口が

恨めしかった


飲み慣れた

うちの畑の

ぶどう酒で


不覚にも

酔いつぶれた




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