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2 闖入者に告ぐ

見れば見るほど

浮わっついた

鼻もちならない

都会女


それなのに

何がどうして

俺のとなりで

ハサミ持ってる?


いやちがう


へっぴり腰の

その手つきは

“持ってる”なんて

代物じゃない

“つまんでる”んだ


言っとくが

ハサミってのは

葉やつるや

傷んだ実やらを

剪定するのに

使うんだ


どこの世界に

実りつつある

青々とした

ぶどうの房を

丸ごと切って

落として平気な

奴がいる?


水でも撒けと

雑用させりゃ

抱えたホースの

重さによろけ


虫見たとたんに

金切声で

3メートルは

後ずさる


草でも刈れと

鎌を持たせりゃ

即 立派な凶器

危なっかしくて

近づけやしない


ほんの数分

目を離してりゃ

さぼって日陰に

座り込む


まったく

始末が悪いこと

この上ない


まかり間違って

ぶどう畑を

相続なんかした日にゃ


3日とあけず

売り飛ばそうって

魂胆だろ?

冗談じゃない


師匠だって

おまえのこの

罰あたりさ加減を

知ってみろ

譲るなんて

ゆめ言うもんか


修業中の身で

おこがましいが

少なくとも

俺にとっては

ぶどう畑は

神聖な場所


かけがえのない

この畑を

遊び半分の

都会女に

汚されるような

いわれはない


肌に合わなきゃ

いますぐ出てけ

おまえの楽園の

都会に帰れ


半分本気で

良かれと思い

半分呆れて

皮肉交じりに

すましたおまえの

鼻先で

何べん俺は

怒鳴ったか


だけど

けったいな奴


次の朝も

その次の朝も


眠い

死んじゃう

やってられないと

わめきながら


おまえは畑に

ついてきた




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