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悪夢の惨劇
白の大理石とどす黒い玄晶
石で出来た市松模様の冷たいチェス盤状の
床上で
僕は血で彩られたブルーのドレスに身を包
まれ項垂れている
────【アリス】を、
──────腕の中で抱き締めていた。
床上は石板を繋ぐ僅かに窪んだ目地が アリ
スの血をつたって歪なハートのマークを作
り出している。
その歪なハートのマークの中央にアリスの
【指】が添えられていた。
第二関節で綺麗に切断された五つの指は列
となり五番目の薬指には赤いリボンが結ば
れ、そのリボンの端先は、アリスの血痕が溝を
伝って形成されたハートの一端に繋がって
いる。
そして、深境の森を淵にしたチェス盤上で
は、アリスと僕を駒みたいに乗せて
美しくも悲惨な情景を創造していた。
さざ波がどよめき
僕の心境を反映したかのように、荒れ狂う
天候が僕の煩悩の唄を奏でている。
僕は《重罪》を犯したようだ。
─────────────この深緑の淵で