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父…
母が失踪してから僕は祖母の家で育てられた。
母は何を考えていたのか知らないけど、祖母曰く父は僕に毎日会いに来ていたらしい。
どんなに仕事が遅く終わっても、毎日必ず来ていたらしい。
そんな父と一緒に写ってる写真は一枚も無い。
この小説を書く数年前に、自分の本籍を始めて見て父の名前を知った。
だから、父の年齢も容姿も何処に住んでる人なのかも知らない。
僕が1歳くらいの時に父方の祖父が、僕を引き取りたいと訪れてきたらしい。
祖父にしてみても初孫、祖母にしてみても初孫。
母が居ない状況で育てるのはやはり父だと、二人は思ったらしく僕を祖父に預けようとしたらしいが、僕はそれまで会った事の無い祖父を拒絶し、祖母の後ろに隠れて泣いていたらしい。
そんな僕を見兼ねてか、祖父は僕を祖母に預けて、曽祖母に東京見物に連れて行ってもらい帰って行ったらしい。
その後、父は僕に会いに来る事は無くなったらしい。