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暴力と愛と

「おるぅあ! 入れよ!」

 僕はノノ姫に蹴り飛ばされて、拷問実験台室に入れられた。

「痛いな。僕をどうしようっていうんだ?」

「うるせえ。昨日のテンションはどうしたってんだよ! このあたしが手を握ってやったのに、なんで喜ばねーんだよ! くそが!」

 ぺっ! とノノ姫が教室の床にたんをはく。

 こりゃあ、外見の綺麗さが台無しどころじゃないな。極悪非道の腐れ人間に見えてきた。

 ノノ姫は僕の髪の毛をつかみあげて、睨みつけてくる。

「おら、テンションあげてみろよ! おらあ!」

「ノノ、やめてあげて」

 すると、教室に誰かがいるのか静かな声が聞こえた。

「私はここよ。わからない?」

 声がする方へ目を向けると、教壇の机の下から声がした。

「え、えっと、どなたですか?」

「私、ハイテンションになりたいな部の部長をやっております。ハイカラと申します」

 相変わらず姿を見せないハイカラ先輩。

 うじうじした態度にしびれを切らしたのか、ノノ姫が牙をむき出しにするように教壇に近づいてけり飛ばした。

「出てこい、榛原はいばら!」

「わ、分かったわ」

 一瞬、ものすごく可愛らしい女の子が教壇からひょこっと顔を出した。

「え、えっと」

「私、これが基本スペックなもので」

 つまり、あまり人前に顔を出さないということだ。

「あたしはよー基本的に人間を舐めてんだよ。おめーも、こいつも、あたし以下だ。だからよーあたしはテンションをあげてーんだよ。血圧じゃねえ。テンションだ! そんでな……こいつがテンションあげてあたしのこと可愛いって全力で言ったとき、ちょっとだけテンションあがったんだよ。すげー快感だったんだぜ。だからよーこれからこいつを拷問して、テンションあがることを言ってもらおうと思ってんだよ」

 ノノ姫がどすの効いた声でおぞましくもあり、可愛らしくもあることを言った。

 いやあ、こんな感じであのテンションを出せるわけないだろ。

「てはじめにだ、あたしのことを可愛いといえ」

「可愛い」

「ダメだ! 気持ちがこもってねえ。ちゃんと言え!」

「可愛いです」

「本当に思ってんのか!? あたしのこと、可愛いと思ってるなら、もっと笑顔で、あの時みたいに絶叫しろよ!」

 案の定、ノノ姫の血圧が上がっているようで白い肌が赤く染まりつつある。

「無理だよ。だって、今の君、全然可愛くないから」

 いつもどおり、冷静にいった。

 本音だった。今、荒れている彼女に可愛らしさの欠片もなかった。顔や声が可愛いだけじゃダメなんだ。

「ちっ、キモ男の癖になまいきいいやがって」

 少しだけ凹んだのか、ノノ姫は下を向いてこっちに戻ってきた。

「じゃあ、ちょっとだけ大人しくするから。だから、あたしのこと可愛いっていうんだぞ」

 下を向き、恥ずかしそうに言ったノノ姫。

 ブチッっと自分の中で何かが切れた音がした。

「ツンデレきたああああああああああああああああああああああ!」

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