「盤石のビジネスモデル」であるはずの全東信が大赤字で倒産した理由
筆者:
今回は26年7月6日に全東信の破産手続き開始が発表され、加盟店未払いが53億、それに伴う一般保証とは別枠で融資保証(100%保証)を受けられる国の支援制度を発動させました。
いわば飲食店の中では社会問題化しつつあるこの一件について、「僕が考えた裏」について話していこうと思います。
質問者:
そもそも、全東信ってクレジットカード決済代行会社ですよね?
基本的に売り上げの一部をマージンで取っているのでそう簡単には倒産するとは思えないんですけど……。
筆者:
基本的にその認識で問題ないです。仕入れを必要としない上に、顧客数に応じて収益が増えますからね。システムの保全や営業が一番お金がかかるとかそういうレベルのビジネスモデルだと思います。
ただ「特性」が他のクレジットカード代行会社とは異なり潰れる要素があったと言われています。
一般的に言われているのが「全東信は売上金額分を肩代わり」しているために資金繰りが悪化したという事です。
他のクレジットカード会社と比べて顧客に対して支払いが早いことをウリにしていたのでその点がマイナスに作用したという事です。
質問者:
筆者:
ですがこの説明では分からない点があります。それは短期においては確かに資金繰りは悪化しますが、普通はクレジットカード決済会社と長期的な契約を結ぶことになります。
そうなると、初月分が遅れるだけで2カ月目以降は他のクレジットカード決済と同じようにマージンが入ってきて、支払いも行われます。そのタイミングが少し早いだけに過ぎません。
全東信が長期的に赤字で1000億円ものの借り入れをする理由にはならないんです。何せ収入として入る金額としては支出が早かろうが関係ないわけですからね。
質問者:
◇「際どい奴ら」ばかりが相手だった
筆者:
では、どうしてこんなにも赤字になったのか? と言いますと、一つ目の理由としては一部の顧客が「ヤバい奴ら」だったという事です。
2024年にはぼったくり店など違法営業をしている会社に決済端末機を設置したとして、全東信元幹部が逮捕された事件がありました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000340763.html
これほど酷いケースはまれだと思うのですが、他のカード決済会社で「落ちた」会社が「最後に求めた先」と言うのがこの全東信だったのです。
そのために全東信から支払われない店と言うのは補助の借り入れが入るとはいえ、返済しなくてはいけないので資金繰りで苦しいことは間違いないのですが、それ以上に「クレジットカード決済が全くできなくなる」可能性も高くなるのです。
質問者:
なるほど……だから全東信で決済をしていた会社が潰れるかもしれないと言われているわけですね……。
筆者:
ここからは僕の憶測ですが、こうした「損しようがない」ビジネスモデルで破産することになるときは、「更なる別の理由」があると思います。
例えば架空の会社を作って迂回して幹部社員がポケットに入れていた。架空の会社も破綻する――そう言った事です。
また、こういう速攻で逃げてしまう会社にありがちなのが反社会的組織や最近のトクリュウと言われている集団のマネーロンダリングの会社が活用すると言った事です。
このような悪しき会社はお金を洗浄したらすぐさまトンズラしてしまうので、全く常駐の顧客として成立しないんです。むしろビジネスモデルの特性上先に立替えた分損することだってあるでしょう。
このようなことが全て起こっているとは限らないんですけど、裾を広げ過ぎてしまったがゆえに起きてしまった事であることは間違いないんです。
質問者:
なるほど……質の悪いお客さんばかりで、しかも反社会的勢力も入り込んでいたのならそりゃ潰れても仕方ないですね……。
筆者:
粉飾をしてまで延命させようとしていたのはそう言った反社のためだったのかもしれませんね。
副次的効果として反社の架空会社なども出てくることが予想され、資金源も断てることも期待できますね。
◇今回の件からの「別の教訓」
筆者:
さてここからは、今回の件から「別の教訓」について考えていこうと思います。
まず、全東信は20年以上にわたって粉飾をしていたそうです。
全東信は非上場企業ではありますが、銀行の審査を通ったからこそ1100億円も借り入れできたのですから、試算表はその都度確認されていたはずです。
一応は貸し付けるための審査をするプロが何人も見てきたにも関わらず20年間粉飾を見つけることが出来なかった。
それが現実なんです。
何が言いたいかと言うと、個別株式の投資が「〇年前の何倍になった」とかで話題になっていますけど、個別企業株を買うと「粉飾」の2文字が発覚すれば永久に株価が戻ってこない可能性があるんです。
質問者:
確かに、銀行の方が見抜けない粉飾を一般の方が見抜けるとは思えません……。
筆者:
そのために僕はNISAで積み立てるのであれば、「指数買い」をお勧めしています。いわゆるインデックス投資と言うやつでして「日経225」や「S&P500」「オールカントリー」などが代表格ですね。
これらは例え粉飾や倒産などで退場したとしても定期的にその会社の内訳は変更され、他の会社と入れ替わるだけですから、個別企業の不祥事リスクの影響を受けないのが最大の強みです。
質問者:
確かに試算表を見ている人すらも見抜けないのであればインデックス投資の方が無難な気がしますね……。
筆者:
もう一つの教訓としては「クレジットカードだけに頼り過ぎない」ことです。
今後飲食店では全東信に入っていたがために「クレジットカード決済が出来なくなる」会社も出てくると思います。
そんな中で現金が無いと「まさかの支払えない」と言う事態になりかねないんです。
そのために1食分+アルファ―ぐらいの現金は必ず持って行った方が無難だという事です。
質問者:
確かにこれまで通っていたお店がいきなり使えなくなることもあり得るという事ですか……。
決済会社が全東信かどうかまでは確認していないでしょうしね……。
筆者:
またこれを機に「カード決済をやめる」ところも出るかもしれません。
カード決済会社のマージンの割合と言うのはお店側としては例え数%であったとしても痛手なんです。
「お客の利便性のためにやむなくカード決済もできるようにしている」だけなんですよね。
カード決済ができないとお客さんがそもそも来ないと言った現象も起きているわけですから。
しかし、お店側の手取りを考えれば「絶対的に現金」で支払って欲しいと思っているはずです。
質問者:
なるほど……全東信の影響でライバルが現金のみになったのなら自分もこの機に……という事ですか。
筆者:
そういうことです。
僕はデジタル系の製品を活用し無い日は存在しないですけど、かと言ってそれが無くなった瞬間にダメになるという状況は良くないと思います。
便利な製品がいつか突然「無くなる覚悟」みたいなものも持っておく必要があるのかなと思います。




